LT(Logical Thinking)&CT(Critical Thinking)教育が目指すべきもの

TVが登場したばかりの時代よりも「日々情報化が進む現代」においてLTスキルやCTスキルが、どこで生きるにせよ、特に重要なスキルであることは私のように日常に埋没している人間にもそれなりに実感として感じらるようになってきたように思います。

もちろん、私個人について言えば、
LTやCTに関する理論や実践方法についても
まだまだ知識や理解、何より経験が不足しているので、
当研究会の研究員としても、現場の教員としても、1人の人間としても、
学び探求し続けていこうと思っています。

また、特にこの分野の学びについては日本の教育全体も
相当遅れているように思います。

英米の小学生用の教科書を見ると、低学年の段階からLT/CTのスキルを重視し時間をかけて訓練されていることにただただ驚くばかりです。
こうした教育の延長線上にSATのreasoning test(2016年改訂)などがあることを思うと、
「現状の日本の教育は大きく変わらなければ駄目だ」という危機感も強く感じます。

ただ、その一方で、ずっと私の中で消えなかった問いがあります。

「LTやCTを重視する文化になぜ好戦的だと思われるような歴史や外交が目立って見受けられるのか?」

イギリス、ドイツ、アメリカ…。

LTやCTを重視しない文化でも好戦的な文化はあります。
ただ、LTやCTが目指す世界は「平和」「協調」であるはずなのに・・・。
なぜ?

□ LTやCTが重視されている文化でも、まだまだ教育の成果が不十分だから。
□ LTやCTと闘争本能的な部分はチャンネルが違うから。

私の問いにそう答える方が多かったし、私自身もそれくらいしか
答が浮かばなかったのですが、どうも「モヤモヤ感」が残っていました。

ヒントになったは、かえつ有明の山田先生、コトバンクの小泉さん、
十文字中高の高瀬先生と雑談していた時の山田先生の言葉でした。

「CTと言ったって、切り方によっていくらでも解釈は変わる」

といった内容のお話でした。(飲んでたんで記憶は曖昧)

謎が解けた! ということではありませんし、思索はまだまだ続けるつもりですが、
スーッと腑に落ちた瞬間でした。

簡単に言うと、「自分の通したい主張」が先行して存在していて、根拠となるEvidenceは都合のよい角度から切って用意する…。

これ、私を含め、誰もがついやってしまっていることだと思います。

相手を攻撃する場合にも、自分を守って言い訳する場合にも。
だからこそ、バイアスを極力排し、「ゼロベース思考」することも、もちろん必要で大事だと思います。しかし、それはそれで相当難しい作業です。

また、その「ゼロベース」という条件すら、先行する感情や主張が都合よく設定するものである場合すらあるかもしれません。そもそも「ゼロベース」という条件が現実の世界のどこかに存在するわけでもないですから。

大学時代に好きだった現象学の「現象学的還元」についても、果たしてそんなことが可能なのかと思った記憶があります。生意気にやってるつもりだったのかもしれませんが(笑)。

世界に付与されているあらゆる意味を取り除き、ありのままの世界を見ようとする試み。
アルチュール・ランボーの「見者」のように、固定化された認識の枠や限界の外に出て世界を認識する、なんてことに憧れたこともありますが、そもそもそこで見える景色が本当に「本物の世界」だという保証すらないわけで…。

話が逸れましたので戻します。

LTやCTを重視し、「考える力」を鍛えることは大切だけれども、あらゆる事象やデータの認識に限界があることを忘れず、解釈すら変わりうることを肝に銘じて、自分が信じる正義や真実が何を実現するのかを常に意識しながらスキルを駆使することが大切だと改めて思っています。

で、何でそんなことを言ってるのかいうと、教材や授業を進化させたくて色々学びながら
良いものを作っていきたいという試行錯誤の中で、今、私がまさに直面していることだからです。

Listening / Reading / Writing / Speakingを統合した授業案と教材を考え模索している時に
Parliamentary debate のことを知りました。

http://www.apdaweb.org/old/guide/rules.html

これを参考にWriting / Speaking / Presentationの活動を現状の生徒のレベルに合わせて作れないかと考えたのですが、Argument Structure の構築手順として、ARE(I)という構造が紹介されています。

A: Assertion
R: Reason
E: Evidence (Example)
I: Impact

Debateをやるとなると、自分の考えとして、まずAからスタートし、Rを考え、Eを探すという
手順になります。しかもdebateではAは自分の意見とは限らず、その場で与えられる。

お気づきだと思いますが、どちらの意見も相対化されるので構築力を鍛える訓練としては良いのですが、「相手を斬るためのLT/CT」になりかねない面もあるように思います。

重視すべきは、EによってARが変わりうるということだし、それを謙虚な姿勢で見続けることではないでしょうか?そもそもEを認知するにもLiteracyを鍛える学びが必要です。

Eにばかり気を取られ、ARIを発信出来ないのも問題ですし、ARIをきちんと組み立てるスキルの訓練も絶対に必要だと思います。何より、そこから先、「ともに」行動することが肝心。

 

しかし、Eを謙虚に追いかけ続け、違うEが認められば、ARIを勇気を持って修正、変更することも必要だし、そもそも、対立ではなく協働であれば、ARIをちんけなエゴの存在理由から切り離せばいいのではないか?

そういう学びが実現する教材と授業を作り上げていこうと思っています。

なので、単なるストラクチャーの理解や訓練に止まらない思考力育成の訓練になるような教材を目指して試行錯誤中です。

私1人では難しいので、是非色々な方々の力をお貸して欲しいです。
サンプル出来たら共有しますので、是非一緒にやりましょう!

この年齢になっても、不勉強で学んでこなかったことの多さに愕然としますし、やらなければと思うこともドンドン増えるばかりですが、新しいものを形にすることに取り組む時って
ワクワクします。

ESNがそのワクワクを共有できるネットワークになるようにしたいですね。

年末は、大阪での発表、高瀬先生、山田先生とのワークショップと、連続でお邪魔させて頂きます。

今年も残り僅かです。
多くの方とのご縁を頂いたことに改めて感謝する1年になりました。

来年もよろしくお願い致します。

よいお年を!

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平成30年度全国学力・学習状況調査(予備調査) 中学校英語 (文科省実施)の問題について

USB配布による音声録音方式について、現場の状況を無視した(?)文科省からの無茶ぶりな実施方法が話題になっている全国学力・学習調査ですが、昨年度の問題を見てみました。(中3生対象)

文科省発信では「日本の学生はRL(Reading/Listneing)は得意だがSW(Speaking/Writing)が弱い」となっており、この点がTEAPやGTECの本校での実施結果と矛盾するということを未来の先生展2018でも指摘させて頂きました。

不勉強で、全国学力・学習調査の中身については見たことがなかったのですが今回目を通してみてびっくりしました。
これ、試験として大丈夫なんだろうか・・・。
とにかく突っ込みどころ満載です。
やらされた中3生がかわいそう。

私の個人的な感想がおかしいのかもしれないので皆様には是非ご自身の目で確かめて頂ければと思います。

平成31年度全国学力・学習状況調査 中学校英語「話すこと」調査に向けて
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku-chousa/zenkoku/1409973.htm

英語予備調査について
http://www.nier.go.jp/18chousakekkahoukoku/kannren_chousa/eigo_yobichousa.html

① Listening (解答時間10分・4題)

【1】クラスルームイングリッシュを聞いて表してる絵を選択させる問題

放送された英語は、Close your textbook and raise your hand.

おいおい、これから何をさせるの?(笑)
こんな英語を教室で使ったことはないし、これからもないと思います。
出題の狙いは、「クラスルーム・イングリッシュを理解し、必要な情報を聞き取ることが出来る」だそうですが…。
問題作成者も、これを実施した文科省の役人も、一回くらい授業したら?
と言いたくなるような問題に思えますが、いかがですか?

他の2題は天気、Tシャツのデザインに関する問題で、単語さえ聞き取れれば出来る易しい問題です。

【2】パンダについてのSpeechとスライドの絵の組み合わせ

これも from China / zookeeprs / more pandas in Japan が聞き取れれば出来る易しい問題。
最後の絵はどうかと思いますが、別に大きな欠陥はありません。

【3】山登りに詳しい人のアドバイスを聞いて、その人が一番伝えたい内容として最も適切なものを選択する問題。

これがヤバイです。スクリプトは以下の通り。

You are going to take Course A and start climbing at 10 o’clock tomorrow, right?
But you have to take Course B and start earlier. Course B takes more time, but it is easier
than Course A. Course A is too difficult for junior high school students. The weather on the mountatin changes quickly. I’m afraid it’ll be rainy tomorrow afternoon. So you need to start before eight. Starting at ten is too late. That’s my advice.

この英文、ひどくないですか?

コースAで明日10時に登ろうとしてるね?でもコースBにしなければならないし、出発は早めなければならない。コースBはコースAより時間がかかるが、より簡単だ。コースAは中学生には難しすぎる。山の天気はすぐ変わる。明日の午後は雨が降るだろう。だから8時前には出発しなければならない。私のアドバイスは以上だ。

知識・技能だけではなく、論理的思考、批判的思考、創造的思考がこれからの時代には必要だ。
その通りですが、この内容で最も重要な情報を選ばせる問題の作問をしておいて言われても
説得力はゼロだと思います。まず子どもではなく、大人が勉強すべきではないでしょうか?

ちなみに選択肢は

1)Course B takes more time.

2) Course A is too difficult.

3) The weather on the mountain changes quickly.

4) You have to start before 8:00.

So you need to start before eight. の箇所からSoを帰結を表す論理マーカーと読ませ、
次の英文が最も重要だ、と解答させたいのでしょうか?

8時前に出発しなければならない理由は、コースBの所要時間がAよりも長いから?
それとも天気が急変しやすい山で明日は雨になるとアドバイザーが思うから?

Soの使い方がおかしくないですか?

私がおかしいのかと思って、生徒に聞いてみたら、「はぁ??」という反応。
だよね(笑)。支離滅裂な英文アドバイスを聞かされて、何が一番大切な情報かと
問われても・・・。

【4】今月帰国する英語の先生マイクのために学校で何かをしましょう。何をしたいですか?英語で1文以上で答えなさい。(英語指示)

問題コンセプトはいいです。模範解答が I want to sing with Mike. (笑)
間違ってないですが、 I want to ~ with Mike. なら何でもOKということなのかな。
なんか深く考えた生徒は時間内(解答時間1分)に考えがまとまらないでしょうね。

こうしたListeningの問題の成績をデータ化し、「日本の学生はListeningは出来る」
という結論に持っていく…。

文科省が日本の学生の4技能の現状把握の根拠として用いたのが(あるいはこれから用いるのが)この試験なのかどうか分かりませんが、もしそうなら、ちょっと問題ありだと思います。

皆様のご意見はいかがでしょうか?

② Reading(20分・4題)

【5】
空所補充4択問題
文脈を考えさせ、空所に入る単語を答えさせる問題。問題としては良問だと思います。
ただ、解答が dictionaries で distractorsが guitars/ cars / boxes ですから
迷いようがない簡単な問題です。

英文の内容と合う絵を答えさせる4択問題
two cats under a tree / playing with balls ですぐに解答出来ます。

時間割の内容と合う英文を選ばせる5択問題(あるだけ選べ方式)
あるだけ選べで、正解は1つ(笑)。まぁ、入試でもよくあるパターンでそれは
よいですが、消去法で確実に消せるので1つしか答えは残らない。
Time Tableで使われている英語の中には integrated study など難しい単語もあるので
「何、知らない」と不安になった中学3年生もいるかもしれませんね。
ただ、典型的な公立中学の生徒の時間割であるように思うので英語力を試したいのなら
別の国の時間割など、生徒が背景知識を共有しないものが望ましいのでは?

【6】英文を読んで、アウトラインを選ばせる4択問題
コンセプトとして良いと思います。私が中学生の時(もう30年以上前)にはこうした
問題はなかったのですが、読解力を見る工夫がされていると感じます。
最近のTOEFLの試験でもアウトラインやSummaryは出題されています。
4択よりも、Summaryとして適切な英文を選ばせる問題の方が良いと思いますが
難易度は上がってしまうので、作問の判断が難しいところです。
【7】 English Cafeという催しのホームページから、「参加者が事前に準備すべきこと」を
知るための情報が、4箇所のどこに書かれているかを聞く問題

良問だと思いました。

思考力系の問題というより情報を探す問題ですが、情報を探すという行為がReadingの目的の1つとしてあるので、コンセプトとしてよいと考えます。
【8】 Opinion Writing

videoとpictureのどちらがto remember good timesするのに適しているかという問題。

これがReadingの分野に入っている理由が分からないです。

③ Writing (15分・2題)

【9】
空所補充4択問題2題
これ、Writing? ただの文法問題2題です。 when / because を入れさせる問題

空所補充記述問題2題
これもただの文法問題。Do you practice/ I was busyを書かせる問題。

表の情報から3文書かせる問題。単純すぎてただの和文英訳と変わらない。
Sam is a teacher. He likes tennis. He doesn’t have a car. いずれも中1英語。

【10】 日本を訪れる外国人観光客向けのパンフレットとして、A gift from Japan の記事を30語以上の英語で書かせる問題。お勧めしたいものを1つあげ、理由を書く。

これ、Writingの問題として適切だとは思いますが、他の問題に比べて難易度が高いのが気になります。4技能のそれぞれの問題の難易度を合わせて、「日本の学生は○○の技能が弱い」と分析するのならよいのですが、パンダの絵の順番を記号で答える問題と同レベルとはとても思えないです。

④ Speaking

【1】絵を見て英語を言う問題が3問。それぞれ10秒。

What time is it? / How many children are there?/ What is this woman doing?
簡単な問題だが、数字だけで答えた場合にどうなるのか、など疑問点は残る。

【2】会話の流れに合う疑問文を言わせる問題?20秒。

これ、スクリプトしか公開されていませんが、問題として成立しているのかどうか…。
3人で会話している設定。「あなた・ナオミ・イギリスから来たリチャード先生」

先生 :3つの国に行きたい。アメリカ、カナダ、中国だね。
なおみ :なぜアメリカに行きたいんですか?
先生 :野球を見たい。興味があるんだ。
なおみ :そうなんですね。
先生 :オーストラリアにはまた行きたいな。
なおみ :いつ行かれたのですか?
先生 :2年前。楽しかった。
なおみ :私も行きたい。
先生 :Great!
(先生となおみが、あなたの方を見ます。)
なおみ :ところで、他に先生に質問ないですか?

これ、散々存在無視された後に、聞かれても…って思ってしまいましたが(笑)。

3人の会話にする意味があったのか?
二人の会話にして、 Do you have any other questions? に対して答える問題で
十分だったのでは?

設定に無理がある = 英語を使う状況を正しく設定出来ない作問者

というのが私の感想です。ちなみに模範解答が Why do you want to go to China?

やれやれ。

【3】1分考えた後、シンガポールの姉妹校の生徒にTV電話で自分の学校を紹介する問題。

ヒントとして、紹介する内容の例が載せてある。「学校のある場所や地域」「部活動」「学校行事」「先生や生徒」など。これら以外のことでも、一部のみの紹介でも可とのこと。

普通のSpeaking問題ですね。気になるのは、何をどう評価するのか?ということ。

発音?    (何をお手本に?アメリカ英語を基準にする?)
Fluency?  (短い言葉を挟みながらなど淀みなく紹介するのが良い、とするの?)
文法エラー?(単なる知識?)

そもそも1分しか考える時間がない訳で、知ってる英語をいかに使いながら30秒英語を話すのか?WPMが120だとしたら60語程度の英語になるでしょうか。

Speakingというよりは即興のプレゼンテーション能力が試されている感じですね。
これもありだと思いますが、難易度は中3生という対象を考えると、他技能に比べて高い気はします。もちろん、いかに知ってる易しい英語を使えるか次第でいくらでも難易度は下げられると思いますが。
長くなってしまいました。

まとめると

① なんじゃこれ? という問題として完成度の低いものが案外多い。
② 4技能のバランスを見るのであれば、難易度の調整がされていないのでは?

の2点です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。

2019 定員抑制影響予想と問題点

私大定員超え 罰則強化せず 混乱回避 3年後再検討 (東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/education/edu_national/CK2018091902000196.html

これまでも再三扱ってきた、「私立大の定員抑制策」について
ようやく文科省からの発信があった。

まず、来年2月の入試に大きな影響を与える施策の発表が9月中旬になって
ようやく行われることについて、大きな違和感と怒りを覚える。

私大の中には、「文科省の施策に関係なく、前年度と同じハードルにする」
と発信しているところもあるが、この発表の内容次第では、それを変更せざるを
得ない状況もあったかもしれないことを考えると、説明会もとっくにスタートしている
この時期の発表は現場を無視した選択だと言わざるを得ない。

また文科省の発信にある文章。あの日本語は、「論理的思考力、批判的思考力、記述力、表現力」
をうたう人間の書くべき文章でしょうか?
一読して分かりにくい文言。相手に誤解無く伝えたいという意志よりも
言質を取られない様に、様々な条件を潜ませ、更に「一面的な数値データ」
のみを用いて、自らの施策の正しさをアピールする自画自賛ぶり。
採用すべきデータは、30年スパンでの大学入学者の推移や各大学の入学者レベル
の推移ではないか?短期的な文脈での成果を自画自賛されても、この政策の是非は
見えない、私は思うのですが。

この点は後述するとして、まず

「来年1月下旬以降に一般受験する受験生にどういう影響があるのか?」

について私見を紹介したいと思います。

東京新聞の中で以下のような見通しが紹介されている。

◆受験生ひとまず朗報
<教育情報会社「大学通信」常務の安田賢治氏の話> 入学定員の厳格化が年々進み、
私立大は当初の合格者数を抑え、定員に満たない場合は繰り上げ合格で補うようになっている。
受験生にとっては入試の難化に加え、繰り上げの可能性が残るため入学先をなかなか確定させられず、
深刻な状況が生じていた。文部科学省が定員超過時の新たなペナルティーの導入を見送ることで、
私大側が合格者数を絞る動きに歯止めがかかると見込まれ、受験生には朗報と言える。
ただ、今春並みの定員規制が残る以上、影響は限定的だろう。

影響が限定的という結論については個人的な予想と一致するが、「朗報」とは言えない
可能性もあることを、少し別の観点から考察し今後の影響を予測してみたい。

今回のポイントは、

①「3年間は罰則を実施しない」
②「100-95%では助成金4%増、94-90%では助成金2%増」

の2点。

具体例から考えてみる。

1万人規模で補助金100億なら、4%補助金増額で4億増収。
仮に110%ギリギリまで入学させた大学なら、
このインセンティブの為に10%削減する必要がある。
一万人の10%、つまり1000人分の減収が必要になる。

ということは、学費を100万とすると、10億の減収。
差し引き6億円の減収となる。
つまり2018年の定員充足率104%が、インセンティブ狙いで
更に入学者を減らすかどうかの境目ということになる。

各大学も文科省に反発するふりをしつつ、こういう計算しながら、
入学者数を決めるでしょうね。
インセンティブ狙いが厳しいところは、
世間受けを狙い、「うちは取るよ!役所の言いなりにはならない」
と宣言しながらソロバンをはじきながら入学者数を決めるでしょうね。
この3年間の減収を回収しに掛かる大学もあるかもしれません。

ただし、「3年間は罰則を実施しない」という文言から
「調査してるからな」という圧を受けている為、
大幅に入学者を増やすとも思えない。

東京新聞の記事はこの点をきちんと予測しているのではないかと思います。

しかし、この3年間で各大学の入学者は1.1倍に揃っているわけではない。
そもそも、120%まで取ってよいと言われていた時代でも、大学の質を
重視していた大学の中には、100%に近い大学も存在します。

そうした大学は、インセンティヴ狙いに転じる可能性もある。
102%しか取っていなければ、2%の学生を減らし2億損しても
4億得られるので2億プラス。

前年度の定員充足率と補助金の額から、ある程度それぞれの大学の
来年の動向を予測することは出来るのではないか?
そして見通しとしては、110%周辺の充足率の大学であれば
昨年並み、100%周辺の充足率の大学であれば昨年より更に厳しい
というのが私のザックリした見通しです。
中には金儲けだけでガッツリ3年で回収に掛かる大学もありそうですね。
ただ、上位大学は流石にそれはやらないように思います。
3年後にまた苦労することになるだけでしょうから。

私のこの予測は正確な数値を根拠にしたものではなく
あくまでザックリ分かり易くお伝えする為のものなので
本格的な予測をしてみたい方は、是非各大学のデータを用いて
予測してみて下さい。
ただ、私は単なる現場の一英語教員、一担任に過ぎないので
そんなことはしません。

さて、この「定員抑制」は正しいのかどうか?

文科省は前述のように、都市部の学生数が減り地方の学生数が増えた
などの一面的なデータで施策の正しさを自画自賛しています。

 平成26年度三大都市圏 106.22%  その他の地域 95.87%
 平成30年度三大都市圏 103.18%  その他の地域 100.81%

あくまで地方活性化の政策として実施したこと、その効果がきちんと
上がっていることをアピールするための数字の提示の仕方ですね。

しかし、この極端な方向転換により、「地方活性化」の実現とやら
がどこまで進んだのか?
まず、学生数と地方の活性化の相関関係から
調査したのでしょうか?

前にも指摘したことがありますが、そもそもリーマンショック以来
地方の学生には上京する余裕などありません。
上京してくるのは就職時です。
地方の学生数が増えたからといって地方が活性化する訳ではない。

更に、この施策が「地方活性化」であったとしても
これまでのアンバランスのツケを、何故2016年~2018年の
3年間に受験する学生だけが背負わなければならないのか?
そもそも、このアンバランスは誰が生み出したものなのか?

各大学の経営が金儲けに偏らないように、大学の質の保証という社会的意義を実現するために
長期的な施策として定員抑制をしたのなら分かります。
が、散々大学の認可をしておいて、何の都合か分かりませんが(想像は容易に出来ますが)、
急に定員を抑制し、ハードルを変え、社会的混乱を招きながら、都合のよい数値で自らの施策を自画自賛する。

これが「表現力」「新しい時代に必要な学力」を標榜する人間達のやることですか?
私は6年担当した可愛い子達が、この施策に泣かされ、次の年度に担当した素晴らしい子達が苦しみ、
この春も多くの生徒達が理不尽に泣かされたことを、絶対に忘れません。こんな文科省なら要らないと思います。

ここからは、あくまで私のOpinionでEvidenceはありません。
が、文科省のこの政策の理由について邪推かもしれませんが
ご紹介しておきます。

なぜ文科省はこの政策を実行したのか?

 天下り先の確保のために大学を作りすぎたが緊縮財政で予算を回せなくなった

これがまず前提としてあります。
その中で

 ① 助成金の配分やインセンティヴをうたいながら、全体の交付金を下げる。
 ② 経営が上手くいっている大学にも、儲けを減らさせることでアメリカ型の運用&寄付のモデルに切り換えさせる。
 ③ 当面は経営難の天下り先の経営をサポート出来る。用が済んだら潰すのかな?

早稲田大学が未公開株に投資するニュースもありましたが、私は全て繋がっているように思います。

皆さんはどのようにお考えでしょうか?

というより、こんなことしてたら本当に若者に愛想つかされますよ、この国は。
 

未来の先生展2018 発表内容(概要)のご紹介

昨日、聖心女子大学で行われた未来の先生展2018で
ESN英語教育総合研究会から発表させて頂きました。

お忙しい中、拙い発表をお聴き下さった方々、支えて下さった久保先生、高瀬先生、大久保先生、ネリーズの皆様、ボランティアの学生の皆様、本当にありがとうございました。

以下、概要ですが、内容をご紹介させて頂きます。

ミニ講演のテーマは以下の2つ。

【01】 民間4技能試験導入に現場はどう対応すべきか?
【02】 授業の「進化」を目指して(LT/CT/Ed tech活用等)

ワークショップを予定していた内容は

Income Inequality Explained: The Effects of Globalization ― Learn Liberty
(https://youtu.be/ja15pIDBEHc)

という178語の英文題材(元々は動画)を用いて、今年の未来の先生展のテーマである、リストラクチャリングをテーマに、「従来型の授業」をどう再構築し進化させるか、を参加者とともに考えるというものです。

当日初めて教室を拝見し、

ワークショップへの短時間での環境変化が難しいこと

当日の参加者数が始まってみないと分からないこと

などから、ミニ講演の後、私や高瀬先生の教育実践を先にご紹介し残り時間で、参加者それぞれに意見交換をして頂くという中途半端なワークショップ(とは言えないもの)になってしまった点が反省点です。

<ミニ講演内容>

大半が3月の講演内容と重複しますが、新たに分析や考察の結果としてご紹介したのは以下の通りです。

【01】 民間4技能試験導入に現場はどう対応すべきか?

□ GTEC Readingの課題 :広告問題に文字数が多くLiteracyの問題になっていない。
□ GTEC Listeningの課題 :選択肢を読み上げることで集団受験時に答えが分かってしまう可能性がある。

□ 2018.5.13の上智大説明会でのTEAP相関についての発信と私の相関分析の比較: 一致しているが、上智はRLとWSの相関など少し大雑把だと思うのでもう少し詳しく知りたい。
□ 2018.5.13の上智大説明会でのTEAP相関についての考察:「TEAPスコアと合否の相関はない」

上智のTEAP入試ではTEAPスコアを得点として換算しないため、国社数理で合否が決まる、ということだが、この発信が意味するものは、それだけではない。なぜなら、上智のTEAP入試の国社数理は「LT/CT/表現力」を重視した試験。ということはTEAPと「思考力・表現力」の間に相関はないことになるのではないか?
TEAPはCEFRによって設計されている。ということは、CEFRと「思考力・表現力」の間に相関がないことになる。
ブルームのタキソノミーを下地に、文科省発信の学力3要素とCEFRを重ねたモデルの発信が多いが、そこには全くエビデンスが存在しないということになる。

ブルームのLOTS(remember/understand/apply)=文科省の「知識・技能」=CEFRのA1~B1

ブルームのHOTS(analyze/evaluate) =文科省の「思考力・判断力・表現力」=CEFRのB2~C1

ブルームのHOTS(create:最上位) =文科省の「主体性・多様性・協働性」=CEFRのC2

春の研究会では、ブルームが最上位に置くcreateを文科省が「主体性・多様性・協働性」と対応させているいびつさ、気持ち悪さ、危なさを指摘しました。

今回は上智の発信から、CEFRとの対応が全く根拠のないものだと言える点を指摘させて頂きました。

□ 4技能試験導入の影響について

(プラス面)  WSも試験で問われることで、授業や生徒の学びの意識が変わる。

確かに、そういうプラス面は期待できなくもないが、マイナスの影響の方がはるかに大きいと考えられる。 なぜなら、民間4技能試験のWSには課題があまりに大きすぎることが相関分析から明らかなためだ。

(マイナス面)
SpeakingはListeningと異常な相関にあることから、相手の言うことを聞けなくてもOKのSpeaking。短期対策で十分。普段の授業で行われているOral 活動などのモチベーションに悪影響。

Writingでは論理はどうでよもいということに。GTECで80%前後の得点を貰っている答案の
LT面でのひどさを実例として紹介。(これは春にもやりましたが、より詳しくご紹介しました)

Reading面では、「Aに基づきBを設定し、Bを達成するCを実行する」=「BとCに基づくAを持つ」と解釈してしまう多くの生徒の論理思考不足を実例として紹介。(6月の授業内容なので春の発表にはなし)

4技能試験対策ではなく、LT/CTを重視した学びを目指して授業も生徒の学習も指導することが必要だという結論は春の研究会の時と変わりません。

□ 日本の英語教育の真の課題について

「日本の英語教育は中高6年、大学まで入れると10年やってものにならない酷いもの」
「日本の英語教育はフィリピン以下だ」

こういった感情的でヒステリックな発信が、エビデンスに基づかない低次元の発信であると同時にいかに子ども達に悪い影響を及ぼすのか、という個人的な問題意識を紹介しました。

資料として用いたのは、語学学校のHPで公開されている科学的調査の結果です。
(http://www.etn.co.jp/approach/period.html)

第二言語習得を専門に勉強した人たちなら当たり前に知っていることですが外国語の習得の難易度は、言語間の距離によって変わります。

アメリカ国務省のデータによると、英語が母語であるエリートに必要とされる研修時間はフランス語が480時間、日本語は2700時間。日本の中高生が6年で英語学習に費やす時間は平均1500時間前後。

別の調査では、カナダのフランス語が母語の学習者が英語を身につけるには最低2100時間必要。第二次世界大戦前のアメリカ海軍の日本語研修時間は4200時間(それで沖縄戦で聞かれる程度のカタカナ日本語)。スペイン系不法移民がなんとか仕事で使える英語を身につけるのに要する時間が6000時間(それも60%の到達者)。

留学もホームステイもしない中高生なら、英語の時間数が多い学生でも2000時間程度。   これを無理に引き上げようとすれば、中高生の日常は滅茶苦茶にされてしまう。

量が絶対的に不足している人に、「君は被害者だ。方法論が悪い」「そんなに勉強しても出来ないの?」という発信をすればどうなるか?

8年たたないと実がならない柿の木を3年で切るような乱暴な発信を、「正義」だと勘違いして感情的に発信するのはいかがなものか?(当日はここまできつく言ってませんが(笑))

目指すべきは、習得に必要とされる大量の学習時間を少しでも効率化する具体的な方法論やツールの導入を様々な学問の知見を生かして広め実行することや、外国語に触れる環境をどう整備するのかを検討し改善することでありテストの変更や従来の方法論の全否定ではないのではないか? と訴えました。

そもそも、ヒステリックな大人が多いのであれば、思考力育成なんてこの国では1000年たっても出来ません。(これも当日はここまで言ってないですが)

※ この話題は、研究会の山田先生、高瀬先生、cotobankの小泉さんとお話した時、上智大の元ゼミ友や現在留学中の緒方先生、小学生と大学生に英語を教えておられる山之内先生との意見交換がとても参考になりました。ありがとうございます。

【02】 授業の「進化」を目指して(LT/CT/Ed tech活用等)

2018.6経済産業省の提言の前提となっている仮説: Ed techにより学習の個別最適化が実現する について

Mikan(Z会)、Targetの友(旺文社)など、テクノロジーの進化は目ざましく、個人的にも「こんなものが自分の学生時代にあったらよかった」と思う。その点では、この仮説は正しいと思うが、見落としている点が2点、といのが私の個人的見解。

① 教科書・ノート・鉛筆 がタブレットに変われば子どもは勉強するのか? (そんなわけない)
② Ed techの大半が、個別最適化という設計になっている点こそが大きな弱点になる可能性がある

4技能試験の課題の本質が、4技能を別のものと仮定し、それぞれを個別に測定可能としている仮説の危うさにあるのと同様、学習の個別最適化実現が正しい方向性でも、そのためのツールが授業、授業内活動評価、発展学習と切り離されることによって、大半の生徒が取り組まなくなるというジレンマに陥る可能性が高い、いうことを、自作のHP教材、RPG教材、AI教材、ビデオ教材、Eメール添削などの限界を痛感した経験から指摘させて頂きました。

実は、AIの強みと弱点、人間の強みと弱点を理解し、AIと人間の役割分担によって教育効果を上げようとしている塾もあるようです。この発想は個人的に凄いと思います。(発表では触れる余裕がなかったです)

私が提案したのは、このブログで発信させて頂いたAIの活用法なので、ここでは省略させて頂きます。

LT/CT教育強化の実例としては、私が本年度使い始めている作文の教材のご紹介(ロジカルレーダーを用いた作文教材やLogical Fallacyをテーマにした自由英作文教材)させて頂きました。

【03】従来型授業のリストラクチャリング実践

ワークショップを予定していましたが、教室環境と時間の都合で一方的なこちらからの発信になってしまいました。楽しみにして下さっていた方々には本当に申し訳ありません。

高瀬先生とコトバンク社の音読におけるICT活用の画期的な点が「評価と活動の連動」にあることをご紹介。

私からは、読解授業で用いている、「Fact Opinion」の2分法を進化させた、「Fact / Untested claim/ Opinion / False claim」の4分法と、私の「6つの論理」という論理思考訓練をはるかに超える、野矢茂樹先生の「7つの論理」のご紹介をさせて頂きました。

Fact / Opinionの2分法の課題と限界から4分法を用いることで論理思考や批判思考の訓練を活性化出来るのではないか、という発信です。特に、Untested claim (Auburn Universityからも発信)を考えさせることで、Text内では真偽が判断出来ない文の真偽をText外に求めることを誘導出来るので、発展学習に向いているのではないかと手応えを感じています。

また、権威主義的な教科書が子ども達の思考の成長をかえって阻害しているという問題を指摘し、教科書=権威・神ではなく、教科書=出発点 という視点で教科書を作ることが必要ではないかと問題提起しました。

さらに、語彙・音声・文法の学習が4技能訓練の授業活動の中で連動していない点も改善が必要だと指摘させて頂きました。
【結論】
未来の先生展の台風のようなロゴ  = 停滞した教育界に大きな変化を
Teacher’s Laboさんの4つのピースが連結しているロゴ = 連結しないピースはいかに優れていても機能しない(Ed techの課題など)
ESN英語教育研究会の人の繋がりを用いたロゴ = 人の繋がりこそが課題解決の最大の鍵
拙い発表を最後までお聴き下さった全ての方々、ご支援、ご協力を頂いた研究会の先生方、同僚の先生方、ボランティアの学生の方々、ご支援頂いた企業の方々、全ての方々に心から感謝申し上げます。

今回のご縁をきっかけに、「繋がり」を育てていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願い致します。

お笑い入試英語

最近の授業から…

最近民間4技能試験の問題点ばかり指摘していますが
入試英語の支持者だと勘違いされては困るので
久しぶりに入試英語の課題を指摘しておきたいと思います(笑)。

まあ、突っ込みどころというか、課題を挙げれば入試英語も
キリが無いほど沢山あります。

作成されている方々は大変だし、大きな責任を微々たる手当てで
やらされている方が大半だと思うので、あまり責めたくはないのですが
中には、「おいおい、これはないなぁ~」というのもあります。

今回はそんな中で、笑えるものを取り上げます。

まずはセンター試験追試に出題された問題。
会話の空所補充問題です。

A:We’re having a party. Would you like to come?
B:Is it all right if I bring a friend with me?
A: (      )
B:Then I’d love to come.

① No, I don’t know. ② Of course not.
③ That’s right. ④ Why not?

解答は④なんですが、生徒達は真面目な顔して解いてました。
英語でA、Bを二人の生徒に読ませた時も一生懸命読んでくれます。

で、「意味考えて!」という話をしてみると
結構笑う生徒出てきました。

友達と一緒じゃないと行かないって、なんかいかにも日本人が
考えそうな内容ですよね。最後のBの台詞のThen(それなら)というのが特に。

次は立命館大学で出題された会話問題。
こちらは、もうちょっと「ヤバイ」です。
ア~エの4つの空所に入る英文を①~⑩から
それぞれ選べという問題です。
まずは是非解いてみてください。

On a street corner

A:Excuse me.  We’re looking for a place to eat around here.
B:At this time of night? (ア.)
A:How about somewhere not too far away that you could recommend then?
B: (イ.) There’s a late-night cafe on the corner.
A:Smith Street? Where’s that?
B: (ウ.)
A:So far?  That will take us at least half an hour on foot.
B:I can drive you there. (エ.)
A:Really? Thanks a lot!

① Can’t you drive?
② Everything’s closed.
③ I’m leaving in the morning.
④ You could try Smith Street.
⑤ It’s right there on the corner.
⑥ Two kilometers down the road.
⑦ Thanks, but we have just eaten.
⑧ What kind of food are you after?
⑨ Why won’t you go to Smith Street?
⑩ I’m heading to Smith Street now anyway.
さて、解答は以下の通りです。

ア:②   イ:④   ウ:⑥   エ:⑩

笑っていただけますよね?(笑)

別に英語の問題としてはいいのですが、
この会話ありえないですよね。

A:Excuse me.  We’re looking for a place to eat around here.

Weから相手は複数です。後で分かりますが、Bは車に乗っているか近くに車を止めてます。2人か3人かもっと多いか知りませんが、食べるところを聞かれた訳です。

B:At this time of night? (ア.)

「こんな夜遅い時間に?」ということは何時なんでしょうか?
生徒に聞いたら23:00くらいではないでしょうか?という答えが返ってきました。

A:How about somewhere not too far away that you could recommend then?

thenがありますので、Bの台詞「こんな遅い時間ではどこも閉まってるよ」を受けて
then「それでは」です。
そのAの台詞が、「あまり遠くないところでお勧めないですか?」です。
人の話聞いてた?って言いたくなりません?

B: (イ.) There’s a late-night cafe on the corner.
A:Smith Street? Where’s that?
B: (ウ.)
A:So far?  That will take us at least half an hour on foot.

じゃあSmith Streetのlate-night cafeでも行ったら、と進めたら場所聞かれたので
2kmくらい先だよ、と教えたら、徒歩で30分もかかるんじゃ遠すぎと言われる。
お前ら、こんな夜中にどんだけわがままなの?って言いたくなります。
B:I can drive you there. (エ.)
A:Really? Thanks a lot!

ここです。問題はここ。そこに送っていってあげるよ。
いや、今車に乗ってるのか、すぐそばに車があるのか分かりませんが
こんな怪しい二人組、それとも集団を自分の車に乗せるの?
どんだけ平和ボケしてるの、日本人?

こうした問題は入試英語だけではなく、気をつけないと
私たちもやってしまいそうです。

日本語発想の英語には気をつけないとですね。

以上、お笑い入試英語でした。
お楽しみいただければ幸いです。

あまり面白くなかった?
もっといいのを探します!

Ed tech / AI 活用の課題 (1)

デジタル・ナレッジ(https://www.digital-knowledge.co.jp/)さんの
ご厚意に甘え、試験的にAI教材を作成中である。

http://esnenglish.world.coocan.jp/aitoppage.html

従来の学校における英語教育では実現が難しかった音声面、特に「聞く」「発話する」学習の強化に大きな可能性を感じるとともに、私自身のスキルや発想の問題が大きいと思うが
課題も多く見えてきた。

やりながらなのでまとまりもないものになりそうだが、ブログで少しずつ発信して
いきたいと思う。

また2018.9.16の「未来の先生展2018」でもワークショップを実施するので
多くの先生方や学生さん、企業の方々と一緒に、従来型の授業の進化を考えて
いきたいと思っている。多くの方に是非ご参加頂ければ幸いです。

□ 未来の先生展2018ESN英語教育総合研究会チラシ
http://es-network.org/wp/wp-content/uploads/2018/07/20180915miraisensei-1.pdf
□ 未来の先生展2018前売り券販売サイト
https://eventregist.com/e/mirai_sensei
□ 未来の先生展2018ESN英語教育総合研究会申し込みサイト
http://es-network.org/?p=10852

さて、「今回はAI活用教材の作成や活用自体が目的化してはならない」
という観点で少し書いてみたいと思う。

「Ed techによって知識・技能の習得は個別最適化されるので授業はインタラゥティヴにアクティヴにPBL(問題解決学習)にその大半の時間を割くことが出来る」

こうした趣旨の発信は経産省の提言をはじめ多くの場で行われている。この発信自体は間違っていないと思うし、歓迎すべきことだと思うが2つの点で課題を抱えていると考える。

1つ目は、

「仮に授業が知識・技能の習得の場から解放されたとして、新しい授業を教員と生徒がどのように創り上げるのか?」

という課題。これについては従来型の授業しか行ってこなかった私を含む多くの教員が、意識を変えて学ばなければならないだろうし単なる理論に対しての知識ではなく、日々の授業の中で試行錯誤していくべきものだが、また別の機会に取り上げてみたい。

2つ目は、

「Ed tech によって知識・技能の取得は本当に、個別最適化されるのか?
(されるとすれば、どのようなケースで、どの程度なのか?)」

という課題である。

私自身はICT機器の活用やオンラインの活用に関しては比較的早期の段階から取り組んできた。

① 1998年HTML型教材
解説ページ⇒問題ページ⇒間違えると解説へ の繰り返し。
「理解⇒演習⇒確認⇒理解」を繰り返し「知識定着」を狙う。
現在のAI技術を駆使すれば、個別最適化まで可能だろうが
「紙の教材なら勉強しないがPCならやる」という生徒は
Windows95発売直後の時代よりは少ないように思えるので
学習習慣の定着を狙った工夫がより必要となるのでは?

② 1999年RPG型教材
全3作。文法復習をドラクエ的世界で行うゲーム(2作)。
海外旅行で必要な英語を音声付きで学ぶゲーム(1作)。
最後の「マンハッタンスパイラル」作成には1,000時間を
超える制作時間を要した。New Yorkでの1000枚を超える写真
撮影、シナリオ作成、ネイティヴの音声収集、BGM音源収集
など。労力に見合うかどうかは分からないが、夜中まで
やって心配という声や放課後のPC教室に行列が出来るなど
当初はインパクトがあったものの短期的な効果しか得られなかった。
仮に長期に渡っての教育効果をあげるものを開発するとすれば
「ワンピース」を超えるものでなければ、と感じる。

③ E-mail添削
2001~2002、2004~2005にかけて実施。
「和訳」「英作文」「長文読解記述」など、通常の紙ベース
の添削よりも、コピペなどが出来る分楽だろうと考えて
やってみたが、週末はまさに「地獄」。
利点としては「生徒の間違いや躓き」をデジタルで保存
出来るので、その後の指導にも役立てることが出来るが
教員の労力を考えると広く行うのは無理。
AIの活用は現段階では技術的にまだ難しいのではないか?
教育効果は生徒次第であるが、それなりにあったと思う。
(Evidenceを示せるようなものは何もないが)

④ オンライン視聴覚教材の活用
授業のWarming Up として活用しているものがほとんど。
熟語を説明した動画から難しい口語表現の意味を考えさせたり、
SDGsの視点から選んだTED ed などの動画を段階的に用いて
出来るだけ多くの英語、テーマに触れさせることを目的として
活用。

⑤ 授業動画 http://esnenglish.world.coocan.jp/englishmovie.html
2016年の熊本の震災をきっかけに、被災地の子どもたちに
教育を届けたいというESN代表の久保先生の志がきっかけで始めた。
実際に現地を訪れてみて、オンライン教材では足りないものが
多すぎることを痛感。以降、勤務校生徒向けに普段の授業では
ゆっくり解説出来ない事項(入試問題全体の解説など)を中心に
作成を継続中。

⑥ AI教材 http://esnenglish.world.coocan.jp/aitoppage.html
2018年夏から制作中。まだまだ試行錯誤の段階。

振り返ってみると、少なくとも私自身のICT機器の活用では「知識・技能」の習得が個別最適化され、従来型教材よりも効果を生んだとはとても言えない。
一時的に学年全体の学力試験の結果が例年よりも偏差値にして7程度上昇したこともあったが、それが継続して学びの質を変えるところまではとても行っていない。そもそも、偏差値の変化が何に起因するものなのかなど特定も出来ないし、それ自体に意味があるとも思えない。

さて、では何が足りなかったのか?

9月の未来の先生展でもこのあたりの話は触れようと思っているが

「家庭学習」⇒「授業」⇒「評価」⇒「発展学習」

という流れの中で、私が行ってきた取り組みは全て「単独」のものに過ぎなかったという点が大きな課題であった。

これは教材のクオリティーが向上し、AIがどんなに発達しても大きな課題であり続けるように思う。

現在、世の中で言われているICT、Ed tech、AI活用学習なども同じ視点から、Critical に検証すべきものが多くあるように感じる。

□「普段の授業よりも、名人の動画見る方が役に立つ」
⇒ 残念ながら、そう言えるケースも多々あるのかもしれないが「誰が見るのか」という視点が欠けている。 「自動車教習所の教官に習うより、VRと動画でF1ドライバーから学ぶ方がよい」と言ってるのとあまり変わらないように私には聞こえる。

□ 「紙の教材だと興味が沸かない学生でも、Ipadで映像を通して学べればドンドン学ぶ。

⇒ 教育現場に身を置く教員であれば、思わず失笑してしまう方が多いと思う。
確かに好奇心の刺激において大きな威力を発揮するケースもあると思われるし効果を考えず、どんどん活用すべきだと思うが、別の問題として「身体性」が疎外されていることから、「知識・技能」を「身につける」のではなく、「触る」に近くなるのではないか、といった危惧も個人的に持っている。
元堀川高校の校長先生の荒瀬先生のご講演でも、アメリカの学者の研究から教育効果を疑問視する声もあることを知った。

□ 「問題集に付箋を貼り付けたりしてやるよりも、自動的に個別最適化される学習の方が効果的だ」
⇒ 学習者が自分の課題を能動的に意識しながら学ぶやり方よりも、自分の課題や弱点を   AIという他者に発見して貰い、演習量を増やす方が効果的・・・。果たしてそうだろうか?
先日、元プロ野球選手の落合氏が、「自分で考えること」が何よりも必要だとTVで語っていた。もちろん、エビデンスのない精神論に基づくコーチングは論外だが、エビデンスに基づく   方法論を他者が与えることだけで人は成長するのか?エビデンスに基づく方法論の追求は絶対に必要だが、「学習者中心」と言いながら「知識・技能習得」の場で、「学習者の思考」を排除することが何を生むのかを考える必要がある。

新しい技術や理論を教育の実践の場に取り入れることに前向きなつもりである。
ただ、「自分の行ってきた失敗」を振り返ると、「技術・理論」の導入や活用自体が目的化してはならないと考えている。

ちょっと外れるが、「ゆとり教育」がなぜ「失敗」だったのか?
失敗かどうかにも議論の余地があるが、それは置いておいて「コンセプト」が学びの場のサイクル(家庭・教室・評価・発展)から切り離されたところで議論され、上から押しつけられ
上手くいかないと、「現場の教員の力量不足」となったこと自体が大きな「失敗」だったと思う。

教育とは、「植木」のようなものなのかもしれない。
本来、子どもたちが持っている「育つ力」を見極めそれぞれに対して必要なことを与えていく。

トマトなんかじゃ駄目なんだ、これからは高級イチゴの時代なんだから

と、相手も「見ずに、知らずに」化学肥料のような教育を施せば何が起こるか。

私たちは慎重に考え、教育を変えていかなければならないのではないだろうか?

うーん、全くまとまりもなく、だらだらと書いてしまいました。

「知識・技能」の習得について

□ 軽視すべきではない。
□ ICT機器の利用が学習者の主体的な試行錯誤を奪ってはならない。
□ ICT機器の利用が学習者の学びの「身体性」を疎外してはならない。
□ ICT機器の利用が学び全体のサイクルの中で機能しなければならない。

ってところで、十分に検証しながらどんどん活用していこう!という結論。

こんなまとめで今回は終わりにしたいと思います。

かなりまとまってませんが、最後まで読んで下さった方ありがとうございます。

次回以降は、AI教材の具体的な課題について少しずつ紹介して書いていく予定です。

文字通り殺人的な暑さですね。
半世紀生きてきてこんな夏は記憶にないです。
皆様、くれぐれもご自愛下さい。

GTEC の課題(私見)

GTEC for studentsを本校で導入して8年ほど経過した。
既存の模擬試験にはない画期的なコンセプトを持つ試験で
導入は正解だったと個人的には確信している。

模擬試験では、偏差値という「得点が持つ集団内の位置の価値」
という実体が分かりにくい数値で生徒に受け止められる。
「偏差値をあと5上げろ」といった無意味な指導も教科を
問わず行われているが、偏差値=学力ではないので
生徒の具体的な学力増進の指導には繋がらないケースが多いだろう。

その点、GTECは中学1,2年生からの英語力の伸長がスコアという
形で目に見えて分かる。

Writingでは70%前後を境に、得点のブレや誤差が大きくなり
3月の研究会でも指摘したとおり、高1時が最高得点者多数という
意味不明な結果が目立って出てきてしまうなどの問題があるが
Reading やListeningでは、学習の積み重ねがそのままスコア
に出るので、学習者も指導者も努力がどういう成果となって
いるのかについて十分な手応えを感じることが出来る。

しかし、である。
これを入試問題として使うには多くの課題がある。
3月の研究会では、

□ LT&CT要素が既存のセンター試験に比べても少ない

という点を挙げたが、今回のブログではそれ以外の問題点についても
簡単に指摘しておきたい。
私自身の不勉強や学力不足による誤解などがあれば
遠慮なくご指摘して頂ければ幸いである。

GTEC for students Listening

Part A 写真を見て内容に合う英文を選択(3択)×10問
Part B 問題も選択肢も放送のみで印刷されていないタイプの問題(3択)×10問
Part C 絵と会話を絡めた問題(4択)×10問
Part D 会話と講話(4択)×10問

新テストのサンプル問題で見られるようなLT/CT要素を試す問題も
TEAPのような資料のリテラシーを問う問題も見当たらない点を除けば
普通のListening問題であるが、大きな欠陥があるのはPart Bである。

かつて駿台予備校でリスニングの問題を模試に導入した際、
難易度が非常に高かったにも関わらず正答率がかなり高くなってしまった
という事例を駿台の研修会で耳にしたことがある。

このケースで問題となったのは、選択肢も放送してしまったことだ。
周囲の受験生の動きで解答が分かってしまうというのは試験として
致命的な欠陥である。

この点について、導入当初にGTEC実施側の営業担当者には直接指摘したことがあるが、
依然として改善されていない。

改善の必要がないと判断されたのか、改善すればそれだけコストが発生する
と判断されたのかは分からない。

センター試験においても、英文の整序問題などで選択肢が少なすぎるため
分かっていなくても正解出来るという問題が生じた年があったが
次年度にはすぐに改善されている。

民間試験というのは、営利を目的とした企業が行う試験なので
変えない・・・ということはないのだろうが、入試に民間試験を
導入する際には、ある程度行政や現場からの問題点指摘が
スムーズな改善に繋がるシステムが不可欠だと改めて感じる。

GTEC for students Reading

Part A 語彙問題:文脈から適切な語を選択する4択問題×14問
⇒ 名詞×4/副詞×3/接続詞×1/形容詞×2/動詞×4。
文法ではなく、あくまで「読む力に繋がる語彙力があるか」
を重視する点はTEAPと同じコンセプト。

Part B What is this passage mainly about? ×6
⇒ 問題としては一見、大雑把な情報処理を試す問題に見えるが
課題は誤りとなる他の選択肢(distracter)があまりに分かりやすすぎる。
LTもCTも必要ない点がセンター試験やTOEFLに比べて残念な点。
私は改善すべき課題だと感じている。

Part B チラシを用いた問題×8
⇒ 一見センター試験やTEAPと同じタイプに見えるが、GTECのチラシ問題は
チラシが文章で構成されている点が独特。というか、チラシなどの
情報処理問題ではなく、ただの古くからある読解問題になっている。
大量の情報をスキャンする能力ではなく、問題が聞いている箇所と
本文の英文を照らし合わせて照合するタイプの問題なので、AIでも解けそうな
単純な突き合わせ作業の問題。改善すべき課題だと感じている。

Part C 4~6パラグラフの読解問題×15
⇒ LT/CT要素を試す視点はほとんど見られない。単なるスキャニングと消去法
により解答出来てしまう問題ばかり。TOEFLで見られるようなSummaryやアウトライン
完成やセンター試験で見られる長文の空所補充問題などを入れるべきだと考える。

本来であれば、導入前に問題をしっかり分析し、指導要領にうたっている「新時代の学力」
を問う試験として妥当かどうかを様々な角度から検証すべきだったと思う。
3月の研究会では、私のような現場の一教員が出来るレベルではなくもっと多くの人材を動員して、「理想的な試験」の実現へ向けて大々的な検討が行われるべきだと
指摘したが、民間試験導入は既に決まってしまった。

今のままでは、この導入によって生徒の学力は向上するどころか
かなり下がるだろう、と思わざるを得ない。

現場の先生方も、試験を受けさせられる学生さんも、英語教育に関わる全ての
皆さんも、声を上げていきましょう。

どうせ駄目だと諦めずに、「このままではいけないのでは?」と感じるのなら
声を上げていきましょう。

誰かのせいにしても、何も生まれませんから。

AIの授業活用例(構想)

118 Did you ask Paul to play the violin

思いつきのレベルですが、ちょっと考えてみました。
既に実施されている事例があれば詳しく知りたいです。

★ Practice SpeakingにおけるAI活用

□ Practice Speakingとは?(上記のリンクからPDFファイルがご覧頂けます)

Practice Speakingという教材は従来共立女子中学で作成されていたペアワーク用会話練習ハンドアウトを体系化しNew Treasure 1~3までの文法項目を網羅する教材として2010~2012の時期に作成したものです。

この教材のコンセプトは共立オリジナルでも私のオリジナルでもなく田尻先生のTalk and Talkがコンセプトの元になっています。Practice Speakingは、検定教科書用に作られたオーラル練習教材を6ヵ年を見通した語彙や熟語などを取り入れつつNew Treasure用に改良したものに過ぎません。

□ 授業での活用例

概ね以下のような流れで活用しました。

1)文法事項の解説
2)教員と生徒全員で一斉練習
3)ペアワークによるタイムトライアル
4)時間内に出来た生徒のGood job シートにシールを貼る。
5)授業で数回扱う
6)復習教材としてPractice Writingを宿題として提出
7)綴りの間違いや文法エラーなどの添削を教員が行う。

一番課題として感じていたのは3)の箇所です。
田尻先生の授業では、教員が最後にチェックして
出来たかどうかを判断します。

本校は少人数制をとっていますが、それでも1クラスのサイズは
30名弱です。
これを授業内で教員がチェックするとなると、それだけで授業が
2時間ほど潰れてしまいます。

しかし、それをやらなければ、きちんと出来たかどうかが
把握出来ません。学校によっては、真面目にやらずに出来たと
手を挙げる生徒も多く出てしまうかもしれません。

また、もう1つの課題は「評価」です。
せっかく授業内に一生懸命に取り組んでくれても
それを授業内活動として評価することが難しい。

この2つの課題をクリアする可能性をAIの導入に感じています。

AIを搭載した英会話アプリのようなものは多いですが、
「オンライン英会話」の廉価版のような使い方ではあまり機能しないのではないか?

個人的にはそう感じていました。

ではどう使うか?

2)の後、または3)の後に、十分練習が出来た生徒は

A)ipadで練習⇒タイムトライアルを行う。

B)パス出来た時間が自動的に記録され、教員に転送される。
(発音や発話英文の精度・エラー数などもデータ化されるとなおよい)

⇒ 数値化されたデータがあれば、授業内での取り組み評価材料になる。

さらに、文字認識でAIが活用出来れば、7)における採点での
教員の業務が軽減され、教員のエネルギーをまた別のところに
振り分けることが出来ます。

経産省提言では、「知識・技能」習得を授業ではなく、AIを用いて家庭学習で行うという
方向性が出ていましたが、それが出来るのはかなりレベルの高い生徒に限定される
と思います。

むしろ、「知識・技能」習得の精度と能率を授業内で上げるためにまずAIを活用してみては
どうだろう?というのが私の今回の案です。

 

 

 

未来の教育を考えるシンポジウムに行ってきました

株式会社Z会ソリューションズ 後援 ESN英語教育総合研究会

未来の教育を考えるシンポジウム~学習者中心の教育の在り方~
https://www.facebook.com/events/212959379310802/?ti=icl

★ 「未来の教室」~民間教育・公教育・産業・先端研究の垣根なき学びの社会システム
(講演者) 経済産業省 サービス政策課 教育産業室長 浅野大介氏

<経済産業省 未来の教室とEdTech 研究会 第一次提言>
http://urx.mobi/KKFk

□「50センチ革命×越境×試行錯誤」
□「STEAMS×個別最適化」
□「学びの生産性」

今回の教育改革を主導している経済産業省の中枢が何を考えているのか、
直接知りたくて話を聞きに行きました。良い意味で予想を裏切られました。
登壇された浅野大介氏はワクワクする学びを子ども達に経験して欲しい、
純粋にそう思われていることを私は強く感じました。

 

労働生産性の向上、超高齢化社会や国際競争力の低下の現状から産業の活性化の為に教育に変化を、という話だとばかり思っていましたが、少なくとも浅野さんは学ぶことが楽しくて、
そういう喜びを1人でも多くの学生に知って欲しいというpassionを強く持たれているのだと思います。

名刺交換会で少しだけお話させて頂きましたが、その時にも目の輝きに感動しました。
もちろん霞ヶ関には色んな方がいて、浅野さんのような方ばかりではなさそうですが…。
むしろ浅野さんは少数派なのかな?

 

資料にあった「日本社会と教育の課題」については前提となる日本社会の課題とそれを教育がどう解決すべきなのかを短絡的に結びつけてはならないという漠然とした危機感を覚えました。(私の知識不足もあるかもしれないですが)

「日本社会は問題だらけ」→「教育を変えなければ駄目だ」

この図式は至る所で見られますが、資料の中でも「労働生産性」における「資本装備率」やTFP(全要素生産性)などの説明も正確な定義も見当たりません。

 

「社会保障負担を支える原資を生み出す産業界は労働生産性に大きな課題を抱え、その順位はOECD先進国の中で低い状態が続いている」

という資料の文言がありますが、日本の生産性(国際比較の場合には一人あたりGDP?)は1970年代から現在に至るまで、19位から21位の間を行ったり来たりしているだけです。

生産性の問題に限って言えば、

「世界が激変」→「変化についていけない日本社会と日本の教育」→「生産性の低下」

という図式は成立していないように思います。

教育と社会的停滞の相関性について冷静に緻密に分析し、
その上で課題を考えないと、「とにかく日本は負けたんだ。誰のせいとかでなく
1億総懺悔だ!」とヒステリックに変化を求める流れに全てが壊れてしまう可能性も
あると思います。

教育に何が出来て、何が出来ないのか、を個人的には冷静に考え続けていきたいです。

また、「自己肯定感」「自己効力感」という言葉も資料にありますが、
教育が変わり、子どもが変わり、こうしたポジティヴな人間が育つのかと言うと
そうとも思えません。

労働生産性の問題一つを取っても、
日本の「一億総懺悔」のメンタリティーが変わらず
「学校」も「会社」も全否定されているという
意識を植え付けられてしまうような現在の日本の風潮では
おそらく何をやっても「カイゼン」などというものが上手くいくとは思えないです。

ただ、資料はともかく、浅野さんのお話はとても面白かったです。
(浅野さんのお話は資料の説明ではなかったですから)

社会科少年が名門中高から東大・東大大学院に進み、官僚としてプロジェクトに
関わる中で、自分の学びに足りなかったものを痛感し、理系文系を問わず
多くの学問を学び直し、学びの楽しさを感じたという貴重な経験を
なんとか「苦行としての学び」しか知らない多くの若者に活かせないかという
熱い想いをヒシヒシと感じられる素晴らしいプレゼンでした。

エリートの劣化批判や公務員たたきが一部でありますがこんなに優秀で熱い想いを持った人材が日本の中枢にいてくれることに感謝です。

 

★教育理念の「鍛え直し」と「見える化」~確固たる存在の私学を目指して~

海城中高の中田大成先生のお話もとても刺激的でした。
特にブランド力をどう築き上げるかについての具体的な実践は
簡単に真似出来るとは思えないレベルの高い事例で、勉強になりました。
今の自分ではとても考えられるようなものではなく、
もっともっと学ばなければという思いを強く持ちました。

東大合格者数の圧倒的実績がある中で、他の学校と交換不可能な
School Identityを模索し、「中学生の卒論発表」「模擬国連参加」
などのプロジェクトを通して、「ワクワクする学びの体験」を
生徒にどう持たせるかを真剣に考えてこられた真摯な姿勢に
ただ頭の下がるばかりです。

アウトカム重視から計算不可能なことを設計する改革では
平田オリザさんのドラマエジュケーションの話がとても興味深かったです。

先日、内田樹さんの「人口減少社会の未来学」の中での
平田オリザさんの文章に感銘を受けたばかりだったので
余計に衝撃的でした。

また、広報戦略のレベルの高さについては、ただただ、感動しかありません。
こうしたクリエイティブな教員の資質が海城の教育の質をここまで向上させてきた
のだと思うと、教員としての自分に努力が足りないことを痛感させられました。

★学習者中心の教育を実現するために~生徒目線で考える「淑徳与野」の学びの環境~

淑徳与野中高の黒田貴先生のお話は、生徒の日常の学びや成長をどう改善していくかについて
具体的な事例を取り上げながらの説明で、とても参考になりました。
教育は特別な日に食べに行くフランス料理ではなく、まさに家庭料理と考えて改善に取り組むべきだと普段から思っているので、とても共感出来る部分が多かったです。

特に、「権限なきリーダーシップ」については勉強になりました。
立教大学のリーダーシップ教育との連携による「インパクト体験棚卸し」
というユニークな取り組みは、今後時間をかけて大きく進化していくことを
予感させられました。

その他、研修会でお会いできた皆様からもとても良い刺激を頂きました。
ご縁に感謝です。

私の人生は本当に人との出逢いに恵まれているなぁと改めて強く思いました。

以上、長々と単なる感想でした。
最後までお読み頂いた皆様(あまり多くないでしょうが(笑))
ありがとうございました!

英文法の学習について(研究会質疑応答より)

英文法の学習について

2018年3月29日の研究会発表の後の質疑応答で以下のような質問がありました。

「文法自体がLogicalになっていないという意見についてどう思われますか?5文型文法は良くないということもよく言われますが、その点についてどうお考えですか?」

当日は以下のように答えました。

「中1から高1・2辺りまでダラダラと文法指導をしているが中3~高1時に、理論を理解する思考力が充実してくる時期に、集中的にやるべき。」

十分なお答えでなかったのがずっと引っかかっていました。

多分、質問された方の真意を私が不勉強でその場で十分理解してお答え出来なかったこともあると思います。

この質問は以下の2つのいずれか(または両方)の点を問題にされているのだと思います。

① 文法そのものは、全て理に適ったものとは限らないし、文法を学びその通りに英語を使おうとしてしまうと、上手く英語が使えないなど 実際に英語を使う場面で役に立たない知識となっているものもあるのではないか?例えば5文型など。

② 文法を学んで知識として身に付けても、論理的に英語を理解したり話したり書いたりする能力はつかないのではないか?

いずれの場合であっても、ご指摘はその通りだと思います。

①については「文法のための文法」で、英語を使う場面ではほとんど何の意味もないような知識なら、その習得には時間を浪費すべきではないと考えます。

Reading/Listening /Speaking/Writingのあらゆる場面で必要な文法知識を優先して学ぶべきであり、「知識」として持っていても、使う場面で意味がないようなものは、文法そのものが大好きな生徒は除いて、一般の高校でも教える必要はないとも思います。

ただ、ネイティヴが意識した知として持っていなくとも知っておくことが、ネイティヴの思考を理解することに繋がるような知識もあり、それらについては学ぶことの意義を否定せずとも良いと考えます。具体的には比較におけるtheやnoの使い方などは理解しておく方が使う場面では適切に使えるのではないかということです。

また最近では、例えば不定詞の用法を文法用語で解説する従来のタイプの教材や授業から
一応そうした解説はしながらも、toのコアイメージを重視したシンプルでありながら本質的理解に繋がるような理解を目指した解説をする教材や授業も増えてきていますので、よい方向に進んでいると私自身は考えます。安易な文法軽視がこうした流れまで否定してしまうことになってはならないのではないでしょうか。

②については、質問の意図にはなかったのかもしれませんが、これも当然で、文法の学習と論理思考の学習は、少なくとも中高生の学習においては本質的にはあまり関係ないと思います。
(ただ、文法を研究されている学者ならそうとも言えないとも思いますが

蛇足になりますが、文法学習全般について以下に私見をまとめておきます。
現場の英語教員が文法をどう考えて指導しているか、単純な文法指導の肯定や否定ではなく、一つのテーマとして個人的にも理解を深めたいと思っていますのでご意見があれば是非お願い致します。

私は文法学習も文法指導も必要だと考えます。

子どもと同じように語学を学べば文法など意識しなくても英語を使えるようになる、というのは正しいと思いますが日本で英語を勉強するという環境を考えるとそのやり方では膨大な時間を浪費することになりますし、いわゆるイマージョン教育だけでは習得能率は上がらないことも最近の科学的知見では実証されている通りです。

「慣れて身に付ける」が難しく、非効率的であるのなら「理解して身に付ける」ための文法学習は否定されるべきものではないと思います。

ただ、所謂「文法問題」を解くということをゴールとしてしまうと「文法学習」が目的化してしまうため、「ルールの丸暗記」に追われてしまう学習になってしまいます。これはそれほど意味があるとは思えません。

新センターや民間試験のReading問題の良い所は文法問題そのものを出題しないことです。

入試問題でも、語法の知識を問う問題はまだまだ多いですが、文法に関する知識を問う問題の出題は難関大ほど減っていますしこれは良い傾向だと思います。

文法問題を解くための「知識丸暗記」の文法学習ではなく、「ハートで学ぶ英文法」のように
ネイティヴの思考を身に付けるための「理解」の為の文法学習を、短期集中的にしっかりやるべきだと思います。

また「5文型」を中心とした文法というよりは「構文分析アプローチ」という方法論についても一言(長いですね…すみません)。

駿台予備校の伊藤和夫さんなんかが代表的存在と言えるのでしょうか?
「英文解釈教室」は私も学生時代読みましたし、英語を構造から理解する方法論としては、素晴らしい名著だと今でも思っています。ただ、こうした方法論には「限界」がつきものです。

最大の欠点は、「漢文読解のように英語を読む癖」がついてしまうことです。
これは大きな欠陥であり、弊害も大きいと思います。伊藤先生ご自身も、「最終的には無意識化に置くべき知」と認識しておられたと思うのですが、万能ツールのように考える人は昔は多かったですね。当時は哲学などで「構造主義」が流行っていたからなのかもしれません。

ただ今でも、そこまで難解な理論でなくても、「構文分析的なアプローチ」は「和訳」の出題が多い国公立大の個別試験では今後も必要とされ予備校のみならず、高校の授業でも一部行われていくのかもしれません。その学習に偏った学生にとっては弊害も無視できないですね。

では、「和訳」が悪なのか?というとそうとも言い切れないと私は思います。

要は英文を直読直解する時と日本語に変換する時では別の読み方をすればよいのかなと思っています。

また、母語と外国語の両方のレベルをアカデミックなレベルで高める必要がある学習者には
和訳の出題もありかなとも思います。日本語と英語の違いを、構造的なアプローチが学習者に認識させる大きな役割を果たす可能性があるからです。

ただ、最近は、「所謂、構造分析力そのものを問う問題」も難関大ほど減っているように思います(特に京大・阪大以外)。

東大の4-Bでは例年和訳が出題されますが最近では「構造の理解」よりも「意味・文脈」
を重視する流れに変わってきています。

下線部の構造分析さえ出来れば出来る問題ではなく全体を英語であろうが日本語であろうが深く読めていないと解けない問題になってきているので、こういう出題であれば「構文偏重」ではなく、「読解力育成」の方に指導も行かざるを得ないし、英語の精読学習も促進されるので
よいのではないかと考えています。

きちんとしたお答えになっているかどうか分かりませんがこの場で改めて発信させて頂きました。

ご質問頂いた先生、本当にありがとうございました。出来れば直接お話し出来れば、もっと的確にお答え出来たのかもしれません。是非、その機会があることを願っています。私自身の勉強になる知見をお持ちの先生だと感じました。ご指導よろしくお願い致します。