2019 定員抑制影響予想と問題点

私大定員超え 罰則強化せず 混乱回避 3年後再検討 (東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/education/edu_national/CK2018091902000196.html

これまでも再三扱ってきた、「私立大の定員抑制策」について
ようやく文科省からの発信があった。

まず、来年2月の入試に大きな影響を与える施策の発表が9月中旬になって
ようやく行われることについて、大きな違和感と怒りを覚える。

私大の中には、「文科省の施策に関係なく、前年度と同じハードルにする」
と発信しているところもあるが、この発表の内容次第では、それを変更せざるを
得ない状況もあったかもしれないことを考えると、説明会もとっくにスタートしている
この時期の発表は現場を無視した選択だと言わざるを得ない。

また文科省の発信にある文章。あの日本語は、「論理的思考力、批判的思考力、記述力、表現力」
をうたう人間の書くべき文章でしょうか?
一読して分かりにくい文言。相手に誤解無く伝えたいという意志よりも
言質を取られない様に、様々な条件を潜ませ、更に「一面的な数値データ」
のみを用いて、自らの施策の正しさをアピールする自画自賛ぶり。
採用すべきデータは、30年スパンでの大学入学者の推移や各大学の入学者レベル
の推移ではないか?短期的な文脈での成果を自画自賛されても、この政策の是非は
見えない、私は思うのですが。

この点は後述するとして、まず

「来年1月下旬以降に一般受験する受験生にどういう影響があるのか?」

について私見を紹介したいと思います。

東京新聞の中で以下のような見通しが紹介されている。

◆受験生ひとまず朗報
<教育情報会社「大学通信」常務の安田賢治氏の話> 入学定員の厳格化が年々進み、
私立大は当初の合格者数を抑え、定員に満たない場合は繰り上げ合格で補うようになっている。
受験生にとっては入試の難化に加え、繰り上げの可能性が残るため入学先をなかなか確定させられず、
深刻な状況が生じていた。文部科学省が定員超過時の新たなペナルティーの導入を見送ることで、
私大側が合格者数を絞る動きに歯止めがかかると見込まれ、受験生には朗報と言える。
ただ、今春並みの定員規制が残る以上、影響は限定的だろう。

影響が限定的という結論については個人的な予想と一致するが、「朗報」とは言えない
可能性もあることを、少し別の観点から考察し今後の影響を予測してみたい。

今回のポイントは、

①「3年間は罰則を実施しない」
②「100-95%では助成金4%増、94-90%では助成金2%増」

の2点。

具体例から考えてみる。

1万人規模で補助金100億なら、4%補助金増額で4億増収。
仮に110%ギリギリまで入学させた大学なら、
このインセンティブの為に10%削減する必要がある。
一万人の10%、つまり1000人分の減収が必要になる。

ということは、学費を100万とすると、10億の減収。
差し引き6億円の減収となる。
つまり2018年の定員充足率104%が、インセンティブ狙いで
更に入学者を減らすかどうかの境目ということになる。

各大学も文科省に反発するふりをしつつ、こういう計算しながら、
入学者数を決めるでしょうね。
インセンティブ狙いが厳しいところは、
世間受けを狙い、「うちは取るよ!役所の言いなりにはならない」
と宣言しながらソロバンをはじきながら入学者数を決めるでしょうね。
この3年間の減収を回収しに掛かる大学もあるかもしれません。

ただし、「3年間は罰則を実施しない」という文言から
「調査してるからな」という圧を受けている為、
大幅に入学者を増やすとも思えない。

東京新聞の記事はこの点をきちんと予測しているのではないかと思います。

しかし、この3年間で各大学の入学者は1.1倍に揃っているわけではない。
そもそも、120%まで取ってよいと言われていた時代でも、大学の質を
重視していた大学の中には、100%に近い大学も存在します。

そうした大学は、インセンティヴ狙いに転じる可能性もある。
102%しか取っていなければ、2%の学生を減らし2億損しても
4億得られるので2億プラス。

前年度の定員充足率と補助金の額から、ある程度それぞれの大学の
来年の動向を予測することは出来るのではないか?
そして見通しとしては、110%周辺の充足率の大学であれば
昨年並み、100%周辺の充足率の大学であれば昨年より更に厳しい
というのが私のザックリした見通しです。
中には金儲けだけでガッツリ3年で回収に掛かる大学もありそうですね。
ただ、上位大学は流石にそれはやらないように思います。
3年後にまた苦労することになるだけでしょうから。

私のこの予測は正確な数値を根拠にしたものではなく
あくまでザックリ分かり易くお伝えする為のものなので
本格的な予測をしてみたい方は、是非各大学のデータを用いて
予測してみて下さい。
ただ、私は単なる現場の一英語教員、一担任に過ぎないので
そんなことはしません。

さて、この「定員抑制」は正しいのかどうか?

文科省は前述のように、都市部の学生数が減り地方の学生数が増えた
などの一面的なデータで施策の正しさを自画自賛しています。

 平成26年度三大都市圏 106.22%  その他の地域 95.87%
 平成30年度三大都市圏 103.18%  その他の地域 100.81%

あくまで地方活性化の政策として実施したこと、その効果がきちんと
上がっていることをアピールするための数字の提示の仕方ですね。

しかし、この極端な方向転換により、「地方活性化」の実現とやら
がどこまで進んだのか?
まず、学生数と地方の活性化の相関関係から
調査したのでしょうか?

前にも指摘したことがありますが、そもそもリーマンショック以来
地方の学生には上京する余裕などありません。
上京してくるのは就職時です。
地方の学生数が増えたからといって地方が活性化する訳ではない。

更に、この施策が「地方活性化」であったとしても
これまでのアンバランスのツケを、何故2016年~2018年の
3年間に受験する学生だけが背負わなければならないのか?
そもそも、このアンバランスは誰が生み出したものなのか?

各大学の経営が金儲けに偏らないように、大学の質の保証という社会的意義を実現するために
長期的な施策として定員抑制をしたのなら分かります。
が、散々大学の認可をしておいて、何の都合か分かりませんが(想像は容易に出来ますが)、
急に定員を抑制し、ハードルを変え、社会的混乱を招きながら、都合のよい数値で自らの施策を自画自賛する。

これが「表現力」「新しい時代に必要な学力」を標榜する人間達のやることですか?
私は6年担当した可愛い子達が、この施策に泣かされ、次の年度に担当した素晴らしい子達が苦しみ、
この春も多くの生徒達が理不尽に泣かされたことを、絶対に忘れません。こんな文科省なら要らないと思います。

ここからは、あくまで私のOpinionでEvidenceはありません。
が、文科省のこの政策の理由について邪推かもしれませんが
ご紹介しておきます。

なぜ文科省はこの政策を実行したのか?

 天下り先の確保のために大学を作りすぎたが緊縮財政で予算を回せなくなった

これがまず前提としてあります。
その中で

 ① 助成金の配分やインセンティヴをうたいながら、全体の交付金を下げる。
 ② 経営が上手くいっている大学にも、儲けを減らさせることでアメリカ型の運用&寄付のモデルに切り換えさせる。
 ③ 当面は経営難の天下り先の経営をサポート出来る。用が済んだら潰すのかな?

早稲田大学が未公開株に投資するニュースもありましたが、私は全て繋がっているように思います。

皆さんはどのようにお考えでしょうか?

というより、こんなことしてたら本当に若者に愛想つかされますよ、この国は。
 

広告

未来の先生展2018 発表内容(概要)のご紹介

昨日、聖心女子大学で行われた未来の先生展2018で
ESN英語教育総合研究会から発表させて頂きました。

お忙しい中、拙い発表をお聴き下さった方々、支えて下さった久保先生、高瀬先生、大久保先生、ネリーズの皆様、ボランティアの学生の皆様、本当にありがとうございました。

以下、概要ですが、内容をご紹介させて頂きます。

ミニ講演のテーマは以下の2つ。

【01】 民間4技能試験導入に現場はどう対応すべきか?
【02】 授業の「進化」を目指して(LT/CT/Ed tech活用等)

ワークショップを予定していた内容は

Income Inequality Explained: The Effects of Globalization ― Learn Liberty
(https://youtu.be/ja15pIDBEHc)

という178語の英文題材(元々は動画)を用いて、今年の未来の先生展のテーマである、リストラクチャリングをテーマに、「従来型の授業」をどう再構築し進化させるか、を参加者とともに考えるというものです。

当日初めて教室を拝見し、

ワークショップへの短時間での環境変化が難しいこと

当日の参加者数が始まってみないと分からないこと

などから、ミニ講演の後、私や高瀬先生の教育実践を先にご紹介し残り時間で、参加者それぞれに意見交換をして頂くという中途半端なワークショップ(とは言えないもの)になってしまった点が反省点です。

<ミニ講演内容>

大半が3月の講演内容と重複しますが、新たに分析や考察の結果としてご紹介したのは以下の通りです。

【01】 民間4技能試験導入に現場はどう対応すべきか?

□ GTEC Readingの課題 :広告問題に文字数が多くLiteracyの問題になっていない。
□ GTEC Listeningの課題 :選択肢を読み上げることで集団受験時に答えが分かってしまう可能性がある。

□ 2018.5.13の上智大説明会でのTEAP相関についての発信と私の相関分析の比較: 一致しているが、上智はRLとWSの相関など少し大雑把だと思うのでもう少し詳しく知りたい。
□ 2018.5.13の上智大説明会でのTEAP相関についての考察:「TEAPスコアと合否の相関はない」

上智のTEAP入試ではTEAPスコアを得点として換算しないため、国社数理で合否が決まる、ということだが、この発信が意味するものは、それだけではない。なぜなら、上智のTEAP入試の国社数理は「LT/CT/表現力」を重視した試験。ということはTEAPと「思考力・表現力」の間に相関はないことになるのではないか?
TEAPはCEFRによって設計されている。ということは、CEFRと「思考力・表現力」の間に相関がないことになる。
ブルームのタキソノミーを下地に、文科省発信の学力3要素とCEFRを重ねたモデルの発信が多いが、そこには全くエビデンスが存在しないということになる。

ブルームのLOTS(remember/understand/apply)=文科省の「知識・技能」=CEFRのA1~B1

ブルームのHOTS(analyze/evaluate) =文科省の「思考力・判断力・表現力」=CEFRのB2~C1

ブルームのHOTS(create:最上位) =文科省の「主体性・多様性・協働性」=CEFRのC2

春の研究会では、ブルームが最上位に置くcreateを文科省が「主体性・多様性・協働性」と対応させているいびつさ、気持ち悪さ、危なさを指摘しました。

今回は上智の発信から、CEFRとの対応が全く根拠のないものだと言える点を指摘させて頂きました。

□ 4技能試験導入の影響について

(プラス面)  WSも試験で問われることで、授業や生徒の学びの意識が変わる。

確かに、そういうプラス面は期待できなくもないが、マイナスの影響の方がはるかに大きいと考えられる。 なぜなら、民間4技能試験のWSには課題があまりに大きすぎることが相関分析から明らかなためだ。

(マイナス面)
SpeakingはListeningと異常な相関にあることから、相手の言うことを聞けなくてもOKのSpeaking。短期対策で十分。普段の授業で行われているOral 活動などのモチベーションに悪影響。

Writingでは論理はどうでよもいということに。GTECで80%前後の得点を貰っている答案の
LT面でのひどさを実例として紹介。(これは春にもやりましたが、より詳しくご紹介しました)

Reading面では、「Aに基づきBを設定し、Bを達成するCを実行する」=「BとCに基づくAを持つ」と解釈してしまう多くの生徒の論理思考不足を実例として紹介。(6月の授業内容なので春の発表にはなし)

4技能試験対策ではなく、LT/CTを重視した学びを目指して授業も生徒の学習も指導することが必要だという結論は春の研究会の時と変わりません。

□ 日本の英語教育の真の課題について

「日本の英語教育は中高6年、大学まで入れると10年やってものにならない酷いもの」
「日本の英語教育はフィリピン以下だ」

こういった感情的でヒステリックな発信が、エビデンスに基づかない低次元の発信であると同時にいかに子ども達に悪い影響を及ぼすのか、という個人的な問題意識を紹介しました。

資料として用いたのは、語学学校のHPで公開されている科学的調査の結果です。
(http://www.etn.co.jp/approach/period.html)

第二言語習得を専門に勉強した人たちなら当たり前に知っていることですが外国語の習得の難易度は、言語間の距離によって変わります。

アメリカ国務省のデータによると、英語が母語であるエリートに必要とされる研修時間はフランス語が480時間、日本語は2700時間。日本の中高生が6年で英語学習に費やす時間は平均1500時間前後。

別の調査では、カナダのフランス語が母語の学習者が英語を身につけるには最低2100時間必要。第二次世界大戦前のアメリカ海軍の日本語研修時間は4200時間(それで沖縄戦で聞かれる程度のカタカナ日本語)。スペイン系不法移民がなんとか仕事で使える英語を身につけるのに要する時間が6000時間(それも60%の到達者)。

留学もホームステイもしない中高生なら、英語の時間数が多い学生でも2000時間程度。   これを無理に引き上げようとすれば、中高生の日常は滅茶苦茶にされてしまう。

量が絶対的に不足している人に、「君は被害者だ。方法論が悪い」「そんなに勉強しても出来ないの?」という発信をすればどうなるか?

8年たたないと実がならない柿の木を3年で切るような乱暴な発信を、「正義」だと勘違いして感情的に発信するのはいかがなものか?(当日はここまできつく言ってませんが(笑))

目指すべきは、習得に必要とされる大量の学習時間を少しでも効率化する具体的な方法論やツールの導入を様々な学問の知見を生かして広め実行することや、外国語に触れる環境をどう整備するのかを検討し改善することでありテストの変更や従来の方法論の全否定ではないのではないか? と訴えました。

そもそも、ヒステリックな大人が多いのであれば、思考力育成なんてこの国では1000年たっても出来ません。(これも当日はここまで言ってないですが)

※ この話題は、研究会の山田先生、高瀬先生、cotobankの小泉さんとお話した時、上智大の元ゼミ友や現在留学中の緒方先生、小学生と大学生に英語を教えておられる山之内先生との意見交換がとても参考になりました。ありがとうございます。

【02】 授業の「進化」を目指して(LT/CT/Ed tech活用等)

2018.6経済産業省の提言の前提となっている仮説: Ed techにより学習の個別最適化が実現する について

Mikan(Z会)、Targetの友(旺文社)など、テクノロジーの進化は目ざましく、個人的にも「こんなものが自分の学生時代にあったらよかった」と思う。その点では、この仮説は正しいと思うが、見落としている点が2点、といのが私の個人的見解。

① 教科書・ノート・鉛筆 がタブレットに変われば子どもは勉強するのか? (そんなわけない)
② Ed techの大半が、個別最適化という設計になっている点こそが大きな弱点になる可能性がある

4技能試験の課題の本質が、4技能を別のものと仮定し、それぞれを個別に測定可能としている仮説の危うさにあるのと同様、学習の個別最適化実現が正しい方向性でも、そのためのツールが授業、授業内活動評価、発展学習と切り離されることによって、大半の生徒が取り組まなくなるというジレンマに陥る可能性が高い、いうことを、自作のHP教材、RPG教材、AI教材、ビデオ教材、Eメール添削などの限界を痛感した経験から指摘させて頂きました。

実は、AIの強みと弱点、人間の強みと弱点を理解し、AIと人間の役割分担によって教育効果を上げようとしている塾もあるようです。この発想は個人的に凄いと思います。(発表では触れる余裕がなかったです)

私が提案したのは、このブログで発信させて頂いたAIの活用法なので、ここでは省略させて頂きます。

LT/CT教育強化の実例としては、私が本年度使い始めている作文の教材のご紹介(ロジカルレーダーを用いた作文教材やLogical Fallacyをテーマにした自由英作文教材)させて頂きました。

【03】従来型授業のリストラクチャリング実践

ワークショップを予定していましたが、教室環境と時間の都合で一方的なこちらからの発信になってしまいました。楽しみにして下さっていた方々には本当に申し訳ありません。

高瀬先生とコトバンク社の音読におけるICT活用の画期的な点が「評価と活動の連動」にあることをご紹介。

私からは、読解授業で用いている、「Fact Opinion」の2分法を進化させた、「Fact / Untested claim/ Opinion / False claim」の4分法と、私の「6つの論理」という論理思考訓練をはるかに超える、野矢茂樹先生の「7つの論理」のご紹介をさせて頂きました。

Fact / Opinionの2分法の課題と限界から4分法を用いることで論理思考や批判思考の訓練を活性化出来るのではないか、という発信です。特に、Untested claim (Auburn Universityからも発信)を考えさせることで、Text内では真偽が判断出来ない文の真偽をText外に求めることを誘導出来るので、発展学習に向いているのではないかと手応えを感じています。

また、権威主義的な教科書が子ども達の思考の成長をかえって阻害しているという問題を指摘し、教科書=権威・神ではなく、教科書=出発点 という視点で教科書を作ることが必要ではないかと問題提起しました。

さらに、語彙・音声・文法の学習が4技能訓練の授業活動の中で連動していない点も改善が必要だと指摘させて頂きました。
【結論】
未来の先生展の台風のようなロゴ  = 停滞した教育界に大きな変化を
Teacher’s Laboさんの4つのピースが連結しているロゴ = 連結しないピースはいかに優れていても機能しない(Ed techの課題など)
ESN英語教育研究会の人の繋がりを用いたロゴ = 人の繋がりこそが課題解決の最大の鍵
拙い発表を最後までお聴き下さった全ての方々、ご支援、ご協力を頂いた研究会の先生方、同僚の先生方、ボランティアの学生の方々、ご支援頂いた企業の方々、全ての方々に心から感謝申し上げます。

今回のご縁をきっかけに、「繋がり」を育てていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願い致します。

お笑い入試英語

最近の授業から…

最近民間4技能試験の問題点ばかり指摘していますが
入試英語の支持者だと勘違いされては困るので
久しぶりに入試英語の課題を指摘しておきたいと思います(笑)。

まあ、突っ込みどころというか、課題を挙げれば入試英語も
キリが無いほど沢山あります。

作成されている方々は大変だし、大きな責任を微々たる手当てで
やらされている方が大半だと思うので、あまり責めたくはないのですが
中には、「おいおい、これはないなぁ~」というのもあります。

今回はそんな中で、笑えるものを取り上げます。

まずはセンター試験追試に出題された問題。
会話の空所補充問題です。

A:We’re having a party. Would you like to come?
B:Is it all right if I bring a friend with me?
A: (      )
B:Then I’d love to come.

① No, I don’t know. ② Of course not.
③ That’s right. ④ Why not?

解答は④なんですが、生徒達は真面目な顔して解いてました。
英語でA、Bを二人の生徒に読ませた時も一生懸命読んでくれます。

で、「意味考えて!」という話をしてみると
結構笑う生徒出てきました。

友達と一緒じゃないと行かないって、なんかいかにも日本人が
考えそうな内容ですよね。最後のBの台詞のThen(それなら)というのが特に。

次は立命館大学で出題された会話問題。
こちらは、もうちょっと「ヤバイ」です。
ア~エの4つの空所に入る英文を①~⑩から
それぞれ選べという問題です。
まずは是非解いてみてください。

On a street corner

A:Excuse me.  We’re looking for a place to eat around here.
B:At this time of night? (ア.)
A:How about somewhere not too far away that you could recommend then?
B: (イ.) There’s a late-night cafe on the corner.
A:Smith Street? Where’s that?
B: (ウ.)
A:So far?  That will take us at least half an hour on foot.
B:I can drive you there. (エ.)
A:Really? Thanks a lot!

① Can’t you drive?
② Everything’s closed.
③ I’m leaving in the morning.
④ You could try Smith Street.
⑤ It’s right there on the corner.
⑥ Two kilometers down the road.
⑦ Thanks, but we have just eaten.
⑧ What kind of food are you after?
⑨ Why won’t you go to Smith Street?
⑩ I’m heading to Smith Street now anyway.
さて、解答は以下の通りです。

ア:②   イ:④   ウ:⑥   エ:⑩

笑っていただけますよね?(笑)

別に英語の問題としてはいいのですが、
この会話ありえないですよね。

A:Excuse me.  We’re looking for a place to eat around here.

Weから相手は複数です。後で分かりますが、Bは車に乗っているか近くに車を止めてます。2人か3人かもっと多いか知りませんが、食べるところを聞かれた訳です。

B:At this time of night? (ア.)

「こんな夜遅い時間に?」ということは何時なんでしょうか?
生徒に聞いたら23:00くらいではないでしょうか?という答えが返ってきました。

A:How about somewhere not too far away that you could recommend then?

thenがありますので、Bの台詞「こんな遅い時間ではどこも閉まってるよ」を受けて
then「それでは」です。
そのAの台詞が、「あまり遠くないところでお勧めないですか?」です。
人の話聞いてた?って言いたくなりません?

B: (イ.) There’s a late-night cafe on the corner.
A:Smith Street? Where’s that?
B: (ウ.)
A:So far?  That will take us at least half an hour on foot.

じゃあSmith Streetのlate-night cafeでも行ったら、と進めたら場所聞かれたので
2kmくらい先だよ、と教えたら、徒歩で30分もかかるんじゃ遠すぎと言われる。
お前ら、こんな夜中にどんだけわがままなの?って言いたくなります。
B:I can drive you there. (エ.)
A:Really? Thanks a lot!

ここです。問題はここ。そこに送っていってあげるよ。
いや、今車に乗ってるのか、すぐそばに車があるのか分かりませんが
こんな怪しい二人組、それとも集団を自分の車に乗せるの?
どんだけ平和ボケしてるの、日本人?

こうした問題は入試英語だけではなく、気をつけないと
私たちもやってしまいそうです。

日本語発想の英語には気をつけないとですね。

以上、お笑い入試英語でした。
お楽しみいただければ幸いです。

あまり面白くなかった?
もっといいのを探します!

Ed tech / AI 活用の課題 (1)

デジタル・ナレッジ(https://www.digital-knowledge.co.jp/)さんの
ご厚意に甘え、試験的にAI教材を作成中である。

http://esnenglish.world.coocan.jp/aitoppage.html

従来の学校における英語教育では実現が難しかった音声面、特に「聞く」「発話する」学習の強化に大きな可能性を感じるとともに、私自身のスキルや発想の問題が大きいと思うが
課題も多く見えてきた。

やりながらなのでまとまりもないものになりそうだが、ブログで少しずつ発信して
いきたいと思う。

また2018.9.16の「未来の先生展2018」でもワークショップを実施するので
多くの先生方や学生さん、企業の方々と一緒に、従来型の授業の進化を考えて
いきたいと思っている。多くの方に是非ご参加頂ければ幸いです。

□ 未来の先生展2018ESN英語教育総合研究会チラシ
http://es-network.org/wp/wp-content/uploads/2018/07/20180915miraisensei-1.pdf
□ 未来の先生展2018前売り券販売サイト
https://eventregist.com/e/mirai_sensei
□ 未来の先生展2018ESN英語教育総合研究会申し込みサイト
http://es-network.org/?p=10852

さて、「今回はAI活用教材の作成や活用自体が目的化してはならない」
という観点で少し書いてみたいと思う。

「Ed techによって知識・技能の習得は個別最適化されるので授業はインタラゥティヴにアクティヴにPBL(問題解決学習)にその大半の時間を割くことが出来る」

こうした趣旨の発信は経産省の提言をはじめ多くの場で行われている。この発信自体は間違っていないと思うし、歓迎すべきことだと思うが2つの点で課題を抱えていると考える。

1つ目は、

「仮に授業が知識・技能の習得の場から解放されたとして、新しい授業を教員と生徒がどのように創り上げるのか?」

という課題。これについては従来型の授業しか行ってこなかった私を含む多くの教員が、意識を変えて学ばなければならないだろうし単なる理論に対しての知識ではなく、日々の授業の中で試行錯誤していくべきものだが、また別の機会に取り上げてみたい。

2つ目は、

「Ed tech によって知識・技能の取得は本当に、個別最適化されるのか?
(されるとすれば、どのようなケースで、どの程度なのか?)」

という課題である。

私自身はICT機器の活用やオンラインの活用に関しては比較的早期の段階から取り組んできた。

① 1998年HTML型教材
解説ページ⇒問題ページ⇒間違えると解説へ の繰り返し。
「理解⇒演習⇒確認⇒理解」を繰り返し「知識定着」を狙う。
現在のAI技術を駆使すれば、個別最適化まで可能だろうが
「紙の教材なら勉強しないがPCならやる」という生徒は
Windows95発売直後の時代よりは少ないように思えるので
学習習慣の定着を狙った工夫がより必要となるのでは?

② 1999年RPG型教材
全3作。文法復習をドラクエ的世界で行うゲーム(2作)。
海外旅行で必要な英語を音声付きで学ぶゲーム(1作)。
最後の「マンハッタンスパイラル」作成には1,000時間を
超える制作時間を要した。New Yorkでの1000枚を超える写真
撮影、シナリオ作成、ネイティヴの音声収集、BGM音源収集
など。労力に見合うかどうかは分からないが、夜中まで
やって心配という声や放課後のPC教室に行列が出来るなど
当初はインパクトがあったものの短期的な効果しか得られなかった。
仮に長期に渡っての教育効果をあげるものを開発するとすれば
「ワンピース」を超えるものでなければ、と感じる。

③ E-mail添削
2001~2002、2004~2005にかけて実施。
「和訳」「英作文」「長文読解記述」など、通常の紙ベース
の添削よりも、コピペなどが出来る分楽だろうと考えて
やってみたが、週末はまさに「地獄」。
利点としては「生徒の間違いや躓き」をデジタルで保存
出来るので、その後の指導にも役立てることが出来るが
教員の労力を考えると広く行うのは無理。
AIの活用は現段階では技術的にまだ難しいのではないか?
教育効果は生徒次第であるが、それなりにあったと思う。
(Evidenceを示せるようなものは何もないが)

④ オンライン視聴覚教材の活用
授業のWarming Up として活用しているものがほとんど。
熟語を説明した動画から難しい口語表現の意味を考えさせたり、
SDGsの視点から選んだTED ed などの動画を段階的に用いて
出来るだけ多くの英語、テーマに触れさせることを目的として
活用。

⑤ 授業動画 http://esnenglish.world.coocan.jp/englishmovie.html
2016年の熊本の震災をきっかけに、被災地の子どもたちに
教育を届けたいというESN代表の久保先生の志がきっかけで始めた。
実際に現地を訪れてみて、オンライン教材では足りないものが
多すぎることを痛感。以降、勤務校生徒向けに普段の授業では
ゆっくり解説出来ない事項(入試問題全体の解説など)を中心に
作成を継続中。

⑥ AI教材 http://esnenglish.world.coocan.jp/aitoppage.html
2018年夏から制作中。まだまだ試行錯誤の段階。

振り返ってみると、少なくとも私自身のICT機器の活用では「知識・技能」の習得が個別最適化され、従来型教材よりも効果を生んだとはとても言えない。
一時的に学年全体の学力試験の結果が例年よりも偏差値にして7程度上昇したこともあったが、それが継続して学びの質を変えるところまではとても行っていない。そもそも、偏差値の変化が何に起因するものなのかなど特定も出来ないし、それ自体に意味があるとも思えない。

さて、では何が足りなかったのか?

9月の未来の先生展でもこのあたりの話は触れようと思っているが

「家庭学習」⇒「授業」⇒「評価」⇒「発展学習」

という流れの中で、私が行ってきた取り組みは全て「単独」のものに過ぎなかったという点が大きな課題であった。

これは教材のクオリティーが向上し、AIがどんなに発達しても大きな課題であり続けるように思う。

現在、世の中で言われているICT、Ed tech、AI活用学習なども同じ視点から、Critical に検証すべきものが多くあるように感じる。

□「普段の授業よりも、名人の動画見る方が役に立つ」
⇒ 残念ながら、そう言えるケースも多々あるのかもしれないが「誰が見るのか」という視点が欠けている。 「自動車教習所の教官に習うより、VRと動画でF1ドライバーから学ぶ方がよい」と言ってるのとあまり変わらないように私には聞こえる。

□ 「紙の教材だと興味が沸かない学生でも、Ipadで映像を通して学べればドンドン学ぶ。

⇒ 教育現場に身を置く教員であれば、思わず失笑してしまう方が多いと思う。
確かに好奇心の刺激において大きな威力を発揮するケースもあると思われるし効果を考えず、どんどん活用すべきだと思うが、別の問題として「身体性」が疎外されていることから、「知識・技能」を「身につける」のではなく、「触る」に近くなるのではないか、といった危惧も個人的に持っている。
元堀川高校の校長先生の荒瀬先生のご講演でも、アメリカの学者の研究から教育効果を疑問視する声もあることを知った。

□ 「問題集に付箋を貼り付けたりしてやるよりも、自動的に個別最適化される学習の方が効果的だ」
⇒ 学習者が自分の課題を能動的に意識しながら学ぶやり方よりも、自分の課題や弱点を   AIという他者に発見して貰い、演習量を増やす方が効果的・・・。果たしてそうだろうか?
先日、元プロ野球選手の落合氏が、「自分で考えること」が何よりも必要だとTVで語っていた。もちろん、エビデンスのない精神論に基づくコーチングは論外だが、エビデンスに基づく   方法論を他者が与えることだけで人は成長するのか?エビデンスに基づく方法論の追求は絶対に必要だが、「学習者中心」と言いながら「知識・技能習得」の場で、「学習者の思考」を排除することが何を生むのかを考える必要がある。

新しい技術や理論を教育の実践の場に取り入れることに前向きなつもりである。
ただ、「自分の行ってきた失敗」を振り返ると、「技術・理論」の導入や活用自体が目的化してはならないと考えている。

ちょっと外れるが、「ゆとり教育」がなぜ「失敗」だったのか?
失敗かどうかにも議論の余地があるが、それは置いておいて「コンセプト」が学びの場のサイクル(家庭・教室・評価・発展)から切り離されたところで議論され、上から押しつけられ
上手くいかないと、「現場の教員の力量不足」となったこと自体が大きな「失敗」だったと思う。

教育とは、「植木」のようなものなのかもしれない。
本来、子どもたちが持っている「育つ力」を見極めそれぞれに対して必要なことを与えていく。

トマトなんかじゃ駄目なんだ、これからは高級イチゴの時代なんだから

と、相手も「見ずに、知らずに」化学肥料のような教育を施せば何が起こるか。

私たちは慎重に考え、教育を変えていかなければならないのではないだろうか?

うーん、全くまとまりもなく、だらだらと書いてしまいました。

「知識・技能」の習得について

□ 軽視すべきではない。
□ ICT機器の利用が学習者の主体的な試行錯誤を奪ってはならない。
□ ICT機器の利用が学習者の学びの「身体性」を疎外してはならない。
□ ICT機器の利用が学び全体のサイクルの中で機能しなければならない。

ってところで、十分に検証しながらどんどん活用していこう!という結論。

こんなまとめで今回は終わりにしたいと思います。

かなりまとまってませんが、最後まで読んで下さった方ありがとうございます。

次回以降は、AI教材の具体的な課題について少しずつ紹介して書いていく予定です。

文字通り殺人的な暑さですね。
半世紀生きてきてこんな夏は記憶にないです。
皆様、くれぐれもご自愛下さい。

GTEC の課題(私見)

GTEC for studentsを本校で導入して8年ほど経過した。
既存の模擬試験にはない画期的なコンセプトを持つ試験で
導入は正解だったと個人的には確信している。

模擬試験では、偏差値という「得点が持つ集団内の位置の価値」
という実体が分かりにくい数値で生徒に受け止められる。
「偏差値をあと5上げろ」といった無意味な指導も教科を
問わず行われているが、偏差値=学力ではないので
生徒の具体的な学力増進の指導には繋がらないケースが多いだろう。

その点、GTECは中学1,2年生からの英語力の伸長がスコアという
形で目に見えて分かる。

Writingでは70%前後を境に、得点のブレや誤差が大きくなり
3月の研究会でも指摘したとおり、高1時が最高得点者多数という
意味不明な結果が目立って出てきてしまうなどの問題があるが
Reading やListeningでは、学習の積み重ねがそのままスコア
に出るので、学習者も指導者も努力がどういう成果となって
いるのかについて十分な手応えを感じることが出来る。

しかし、である。
これを入試問題として使うには多くの課題がある。
3月の研究会では、

□ LT&CT要素が既存のセンター試験に比べても少ない

という点を挙げたが、今回のブログではそれ以外の問題点についても
簡単に指摘しておきたい。
私自身の不勉強や学力不足による誤解などがあれば
遠慮なくご指摘して頂ければ幸いである。

GTEC for students Listening

Part A 写真を見て内容に合う英文を選択(3択)×10問
Part B 問題も選択肢も放送のみで印刷されていないタイプの問題(3択)×10問
Part C 絵と会話を絡めた問題(4択)×10問
Part D 会話と講話(4択)×10問

新テストのサンプル問題で見られるようなLT/CT要素を試す問題も
TEAPのような資料のリテラシーを問う問題も見当たらない点を除けば
普通のListening問題であるが、大きな欠陥があるのはPart Bである。

かつて駿台予備校でリスニングの問題を模試に導入した際、
難易度が非常に高かったにも関わらず正答率がかなり高くなってしまった
という事例を駿台の研修会で耳にしたことがある。

このケースで問題となったのは、選択肢も放送してしまったことだ。
周囲の受験生の動きで解答が分かってしまうというのは試験として
致命的な欠陥である。

この点について、導入当初にGTEC実施側の営業担当者には直接指摘したことがあるが、
依然として改善されていない。

改善の必要がないと判断されたのか、改善すればそれだけコストが発生する
と判断されたのかは分からない。

センター試験においても、英文の整序問題などで選択肢が少なすぎるため
分かっていなくても正解出来るという問題が生じた年があったが
次年度にはすぐに改善されている。

民間試験というのは、営利を目的とした企業が行う試験なので
変えない・・・ということはないのだろうが、入試に民間試験を
導入する際には、ある程度行政や現場からの問題点指摘が
スムーズな改善に繋がるシステムが不可欠だと改めて感じる。

GTEC for students Reading

Part A 語彙問題:文脈から適切な語を選択する4択問題×14問
⇒ 名詞×4/副詞×3/接続詞×1/形容詞×2/動詞×4。
文法ではなく、あくまで「読む力に繋がる語彙力があるか」
を重視する点はTEAPと同じコンセプト。

Part B What is this passage mainly about? ×6
⇒ 問題としては一見、大雑把な情報処理を試す問題に見えるが
課題は誤りとなる他の選択肢(distracter)があまりに分かりやすすぎる。
LTもCTも必要ない点がセンター試験やTOEFLに比べて残念な点。
私は改善すべき課題だと感じている。

Part B チラシを用いた問題×8
⇒ 一見センター試験やTEAPと同じタイプに見えるが、GTECのチラシ問題は
チラシが文章で構成されている点が独特。というか、チラシなどの
情報処理問題ではなく、ただの古くからある読解問題になっている。
大量の情報をスキャンする能力ではなく、問題が聞いている箇所と
本文の英文を照らし合わせて照合するタイプの問題なので、AIでも解けそうな
単純な突き合わせ作業の問題。改善すべき課題だと感じている。

Part C 4~6パラグラフの読解問題×15
⇒ LT/CT要素を試す視点はほとんど見られない。単なるスキャニングと消去法
により解答出来てしまう問題ばかり。TOEFLで見られるようなSummaryやアウトライン
完成やセンター試験で見られる長文の空所補充問題などを入れるべきだと考える。

本来であれば、導入前に問題をしっかり分析し、指導要領にうたっている「新時代の学力」
を問う試験として妥当かどうかを様々な角度から検証すべきだったと思う。
3月の研究会では、私のような現場の一教員が出来るレベルではなくもっと多くの人材を動員して、「理想的な試験」の実現へ向けて大々的な検討が行われるべきだと
指摘したが、民間試験導入は既に決まってしまった。

今のままでは、この導入によって生徒の学力は向上するどころか
かなり下がるだろう、と思わざるを得ない。

現場の先生方も、試験を受けさせられる学生さんも、英語教育に関わる全ての
皆さんも、声を上げていきましょう。

どうせ駄目だと諦めずに、「このままではいけないのでは?」と感じるのなら
声を上げていきましょう。

誰かのせいにしても、何も生まれませんから。

AIの授業活用例(構想)

118 Did you ask Paul to play the violin

思いつきのレベルですが、ちょっと考えてみました。
既に実施されている事例があれば詳しく知りたいです。

★ Practice SpeakingにおけるAI活用

□ Practice Speakingとは?(上記のリンクからPDFファイルがご覧頂けます)

Practice Speakingという教材は従来共立女子中学で作成されていたペアワーク用会話練習ハンドアウトを体系化しNew Treasure 1~3までの文法項目を網羅する教材として2010~2012の時期に作成したものです。

この教材のコンセプトは共立オリジナルでも私のオリジナルでもなく田尻先生のTalk and Talkがコンセプトの元になっています。Practice Speakingは、検定教科書用に作られたオーラル練習教材を6ヵ年を見通した語彙や熟語などを取り入れつつNew Treasure用に改良したものに過ぎません。

□ 授業での活用例

概ね以下のような流れで活用しました。

1)文法事項の解説
2)教員と生徒全員で一斉練習
3)ペアワークによるタイムトライアル
4)時間内に出来た生徒のGood job シートにシールを貼る。
5)授業で数回扱う
6)復習教材としてPractice Writingを宿題として提出
7)綴りの間違いや文法エラーなどの添削を教員が行う。

一番課題として感じていたのは3)の箇所です。
田尻先生の授業では、教員が最後にチェックして
出来たかどうかを判断します。

本校は少人数制をとっていますが、それでも1クラスのサイズは
30名弱です。
これを授業内で教員がチェックするとなると、それだけで授業が
2時間ほど潰れてしまいます。

しかし、それをやらなければ、きちんと出来たかどうかが
把握出来ません。学校によっては、真面目にやらずに出来たと
手を挙げる生徒も多く出てしまうかもしれません。

また、もう1つの課題は「評価」です。
せっかく授業内に一生懸命に取り組んでくれても
それを授業内活動として評価することが難しい。

この2つの課題をクリアする可能性をAIの導入に感じています。

AIを搭載した英会話アプリのようなものは多いですが、
「オンライン英会話」の廉価版のような使い方ではあまり機能しないのではないか?

個人的にはそう感じていました。

ではどう使うか?

2)の後、または3)の後に、十分練習が出来た生徒は

A)ipadで練習⇒タイムトライアルを行う。

B)パス出来た時間が自動的に記録され、教員に転送される。
(発音や発話英文の精度・エラー数などもデータ化されるとなおよい)

⇒ 数値化されたデータがあれば、授業内での取り組み評価材料になる。

さらに、文字認識でAIが活用出来れば、7)における採点での
教員の業務が軽減され、教員のエネルギーをまた別のところに
振り分けることが出来ます。

経産省提言では、「知識・技能」習得を授業ではなく、AIを用いて家庭学習で行うという
方向性が出ていましたが、それが出来るのはかなりレベルの高い生徒に限定される
と思います。

むしろ、「知識・技能」習得の精度と能率を授業内で上げるためにまずAIを活用してみては
どうだろう?というのが私の今回の案です。

 

 

 

未来の教育を考えるシンポジウムに行ってきました

株式会社Z会ソリューションズ 後援 ESN英語教育総合研究会

未来の教育を考えるシンポジウム~学習者中心の教育の在り方~
https://www.facebook.com/events/212959379310802/?ti=icl

★ 「未来の教室」~民間教育・公教育・産業・先端研究の垣根なき学びの社会システム
(講演者) 経済産業省 サービス政策課 教育産業室長 浅野大介氏

<経済産業省 未来の教室とEdTech 研究会 第一次提言>
http://urx.mobi/KKFk

□「50センチ革命×越境×試行錯誤」
□「STEAMS×個別最適化」
□「学びの生産性」

今回の教育改革を主導している経済産業省の中枢が何を考えているのか、
直接知りたくて話を聞きに行きました。良い意味で予想を裏切られました。
登壇された浅野大介氏はワクワクする学びを子ども達に経験して欲しい、
純粋にそう思われていることを私は強く感じました。

 

労働生産性の向上、超高齢化社会や国際競争力の低下の現状から産業の活性化の為に教育に変化を、という話だとばかり思っていましたが、少なくとも浅野さんは学ぶことが楽しくて、
そういう喜びを1人でも多くの学生に知って欲しいというpassionを強く持たれているのだと思います。

名刺交換会で少しだけお話させて頂きましたが、その時にも目の輝きに感動しました。
もちろん霞ヶ関には色んな方がいて、浅野さんのような方ばかりではなさそうですが…。
むしろ浅野さんは少数派なのかな?

 

資料にあった「日本社会と教育の課題」については前提となる日本社会の課題とそれを教育がどう解決すべきなのかを短絡的に結びつけてはならないという漠然とした危機感を覚えました。(私の知識不足もあるかもしれないですが)

「日本社会は問題だらけ」→「教育を変えなければ駄目だ」

この図式は至る所で見られますが、資料の中でも「労働生産性」における「資本装備率」やTFP(全要素生産性)などの説明も正確な定義も見当たりません。

 

「社会保障負担を支える原資を生み出す産業界は労働生産性に大きな課題を抱え、その順位はOECD先進国の中で低い状態が続いている」

という資料の文言がありますが、日本の生産性(国際比較の場合には一人あたりGDP?)は1970年代から現在に至るまで、19位から21位の間を行ったり来たりしているだけです。

生産性の問題に限って言えば、

「世界が激変」→「変化についていけない日本社会と日本の教育」→「生産性の低下」

という図式は成立していないように思います。

教育と社会的停滞の相関性について冷静に緻密に分析し、
その上で課題を考えないと、「とにかく日本は負けたんだ。誰のせいとかでなく
1億総懺悔だ!」とヒステリックに変化を求める流れに全てが壊れてしまう可能性も
あると思います。

教育に何が出来て、何が出来ないのか、を個人的には冷静に考え続けていきたいです。

また、「自己肯定感」「自己効力感」という言葉も資料にありますが、
教育が変わり、子どもが変わり、こうしたポジティヴな人間が育つのかと言うと
そうとも思えません。

労働生産性の問題一つを取っても、
日本の「一億総懺悔」のメンタリティーが変わらず
「学校」も「会社」も全否定されているという
意識を植え付けられてしまうような現在の日本の風潮では
おそらく何をやっても「カイゼン」などというものが上手くいくとは思えないです。

ただ、資料はともかく、浅野さんのお話はとても面白かったです。
(浅野さんのお話は資料の説明ではなかったですから)

社会科少年が名門中高から東大・東大大学院に進み、官僚としてプロジェクトに
関わる中で、自分の学びに足りなかったものを痛感し、理系文系を問わず
多くの学問を学び直し、学びの楽しさを感じたという貴重な経験を
なんとか「苦行としての学び」しか知らない多くの若者に活かせないかという
熱い想いをヒシヒシと感じられる素晴らしいプレゼンでした。

エリートの劣化批判や公務員たたきが一部でありますがこんなに優秀で熱い想いを持った人材が日本の中枢にいてくれることに感謝です。

 

★教育理念の「鍛え直し」と「見える化」~確固たる存在の私学を目指して~

海城中高の中田大成先生のお話もとても刺激的でした。
特にブランド力をどう築き上げるかについての具体的な実践は
簡単に真似出来るとは思えないレベルの高い事例で、勉強になりました。
今の自分ではとても考えられるようなものではなく、
もっともっと学ばなければという思いを強く持ちました。

東大合格者数の圧倒的実績がある中で、他の学校と交換不可能な
School Identityを模索し、「中学生の卒論発表」「模擬国連参加」
などのプロジェクトを通して、「ワクワクする学びの体験」を
生徒にどう持たせるかを真剣に考えてこられた真摯な姿勢に
ただ頭の下がるばかりです。

アウトカム重視から計算不可能なことを設計する改革では
平田オリザさんのドラマエジュケーションの話がとても興味深かったです。

先日、内田樹さんの「人口減少社会の未来学」の中での
平田オリザさんの文章に感銘を受けたばかりだったので
余計に衝撃的でした。

また、広報戦略のレベルの高さについては、ただただ、感動しかありません。
こうしたクリエイティブな教員の資質が海城の教育の質をここまで向上させてきた
のだと思うと、教員としての自分に努力が足りないことを痛感させられました。

★学習者中心の教育を実現するために~生徒目線で考える「淑徳与野」の学びの環境~

淑徳与野中高の黒田貴先生のお話は、生徒の日常の学びや成長をどう改善していくかについて
具体的な事例を取り上げながらの説明で、とても参考になりました。
教育は特別な日に食べに行くフランス料理ではなく、まさに家庭料理と考えて改善に取り組むべきだと普段から思っているので、とても共感出来る部分が多かったです。

特に、「権限なきリーダーシップ」については勉強になりました。
立教大学のリーダーシップ教育との連携による「インパクト体験棚卸し」
というユニークな取り組みは、今後時間をかけて大きく進化していくことを
予感させられました。

その他、研修会でお会いできた皆様からもとても良い刺激を頂きました。
ご縁に感謝です。

私の人生は本当に人との出逢いに恵まれているなぁと改めて強く思いました。

以上、長々と単なる感想でした。
最後までお読み頂いた皆様(あまり多くないでしょうが(笑))
ありがとうございました!

英文法の学習について(研究会質疑応答より)

英文法の学習について

2018年3月29日の研究会発表の後の質疑応答で以下のような質問がありました。

「文法自体がLogicalになっていないという意見についてどう思われますか?5文型文法は良くないということもよく言われますが、その点についてどうお考えですか?」

当日は以下のように答えました。

「中1から高1・2辺りまでダラダラと文法指導をしているが中3~高1時に、理論を理解する思考力が充実してくる時期に、集中的にやるべき。」

十分なお答えでなかったのがずっと引っかかっていました。

多分、質問された方の真意を私が不勉強でその場で十分理解してお答え出来なかったこともあると思います。

この質問は以下の2つのいずれか(または両方)の点を問題にされているのだと思います。

① 文法そのものは、全て理に適ったものとは限らないし、文法を学びその通りに英語を使おうとしてしまうと、上手く英語が使えないなど 実際に英語を使う場面で役に立たない知識となっているものもあるのではないか?例えば5文型など。

② 文法を学んで知識として身に付けても、論理的に英語を理解したり話したり書いたりする能力はつかないのではないか?

いずれの場合であっても、ご指摘はその通りだと思います。

①については「文法のための文法」で、英語を使う場面ではほとんど何の意味もないような知識なら、その習得には時間を浪費すべきではないと考えます。

Reading/Listening /Speaking/Writingのあらゆる場面で必要な文法知識を優先して学ぶべきであり、「知識」として持っていても、使う場面で意味がないようなものは、文法そのものが大好きな生徒は除いて、一般の高校でも教える必要はないとも思います。

ただ、ネイティヴが意識した知として持っていなくとも知っておくことが、ネイティヴの思考を理解することに繋がるような知識もあり、それらについては学ぶことの意義を否定せずとも良いと考えます。具体的には比較におけるtheやnoの使い方などは理解しておく方が使う場面では適切に使えるのではないかということです。

また最近では、例えば不定詞の用法を文法用語で解説する従来のタイプの教材や授業から
一応そうした解説はしながらも、toのコアイメージを重視したシンプルでありながら本質的理解に繋がるような理解を目指した解説をする教材や授業も増えてきていますので、よい方向に進んでいると私自身は考えます。安易な文法軽視がこうした流れまで否定してしまうことになってはならないのではないでしょうか。

②については、質問の意図にはなかったのかもしれませんが、これも当然で、文法の学習と論理思考の学習は、少なくとも中高生の学習においては本質的にはあまり関係ないと思います。
(ただ、文法を研究されている学者ならそうとも言えないとも思いますが

蛇足になりますが、文法学習全般について以下に私見をまとめておきます。
現場の英語教員が文法をどう考えて指導しているか、単純な文法指導の肯定や否定ではなく、一つのテーマとして個人的にも理解を深めたいと思っていますのでご意見があれば是非お願い致します。

私は文法学習も文法指導も必要だと考えます。

子どもと同じように語学を学べば文法など意識しなくても英語を使えるようになる、というのは正しいと思いますが日本で英語を勉強するという環境を考えるとそのやり方では膨大な時間を浪費することになりますし、いわゆるイマージョン教育だけでは習得能率は上がらないことも最近の科学的知見では実証されている通りです。

「慣れて身に付ける」が難しく、非効率的であるのなら「理解して身に付ける」ための文法学習は否定されるべきものではないと思います。

ただ、所謂「文法問題」を解くということをゴールとしてしまうと「文法学習」が目的化してしまうため、「ルールの丸暗記」に追われてしまう学習になってしまいます。これはそれほど意味があるとは思えません。

新センターや民間試験のReading問題の良い所は文法問題そのものを出題しないことです。

入試問題でも、語法の知識を問う問題はまだまだ多いですが、文法に関する知識を問う問題の出題は難関大ほど減っていますしこれは良い傾向だと思います。

文法問題を解くための「知識丸暗記」の文法学習ではなく、「ハートで学ぶ英文法」のように
ネイティヴの思考を身に付けるための「理解」の為の文法学習を、短期集中的にしっかりやるべきだと思います。

また「5文型」を中心とした文法というよりは「構文分析アプローチ」という方法論についても一言(長いですね…すみません)。

駿台予備校の伊藤和夫さんなんかが代表的存在と言えるのでしょうか?
「英文解釈教室」は私も学生時代読みましたし、英語を構造から理解する方法論としては、素晴らしい名著だと今でも思っています。ただ、こうした方法論には「限界」がつきものです。

最大の欠点は、「漢文読解のように英語を読む癖」がついてしまうことです。
これは大きな欠陥であり、弊害も大きいと思います。伊藤先生ご自身も、「最終的には無意識化に置くべき知」と認識しておられたと思うのですが、万能ツールのように考える人は昔は多かったですね。当時は哲学などで「構造主義」が流行っていたからなのかもしれません。

ただ今でも、そこまで難解な理論でなくても、「構文分析的なアプローチ」は「和訳」の出題が多い国公立大の個別試験では今後も必要とされ予備校のみならず、高校の授業でも一部行われていくのかもしれません。その学習に偏った学生にとっては弊害も無視できないですね。

では、「和訳」が悪なのか?というとそうとも言い切れないと私は思います。

要は英文を直読直解する時と日本語に変換する時では別の読み方をすればよいのかなと思っています。

また、母語と外国語の両方のレベルをアカデミックなレベルで高める必要がある学習者には
和訳の出題もありかなとも思います。日本語と英語の違いを、構造的なアプローチが学習者に認識させる大きな役割を果たす可能性があるからです。

ただ、最近は、「所謂、構造分析力そのものを問う問題」も難関大ほど減っているように思います(特に京大・阪大以外)。

東大の4-Bでは例年和訳が出題されますが最近では「構造の理解」よりも「意味・文脈」
を重視する流れに変わってきています。

下線部の構造分析さえ出来れば出来る問題ではなく全体を英語であろうが日本語であろうが深く読めていないと解けない問題になってきているので、こういう出題であれば「構文偏重」ではなく、「読解力育成」の方に指導も行かざるを得ないし、英語の精読学習も促進されるので
よいのではないかと考えています。

きちんとしたお答えになっているかどうか分かりませんがこの場で改めて発信させて頂きました。

ご質問頂いた先生、本当にありがとうございました。出来れば直接お話し出来れば、もっと的確にお答え出来たのかもしれません。是非、その機会があることを願っています。私自身の勉強になる知見をお持ちの先生だと感じました。ご指導よろしくお願い致します。

 

 

 

2018.3.29 ESN 東京第6回春期英語教育セミナー発表概要

29829652_1669025126547035_1477775051_o

終わった瞬間、身体がドッと重くなりました。
自分では必ずしもベストな発表をやり遂げたという充実感はなかったのですが少なくとも今自分の中にあるものは全て出しきったからなのかも知れません。

今回のセミナーで私が一番訴えたかったのは、それぞれの立場からポジショントークするのではなく、あるいは自分と違う考えの人間をそう批判するのではなく、日本の未来を担ってくれる若者たちのために一致団結して頑張りましょう、という単純なことです。

多くの方々から、是非プレゼンの資料が欲しいという有難いお言葉を頂きました。ただ、学校内のデータということもあり、お土産としてお持ちいただいた資料以外の提供は差し控えさせていただきたいと思います。申し訳ありません。

その代わりという訳ではありませんが、以下発表の概要をまとめさせて頂きます。
何かのお役にたてば幸いです。

また、プレゼンに先立ち、司会の木幡教諭からご紹介頂いた「1000 TEXTBOOKS PROJECT」
に大きなご理解とご協力を頂けたことをこの場を借りてお礼申し上げます。
皆様の暖かいお気持ちが伝わってきて、募金箱を見た時に涙が出そうになるほど嬉しかったです。

そのご協力の呼びかけも含め、これだけ多くの人の輪を作って下さった代表の久保先生、会場校としていつもご協力を頂いている十文字中高の橋本先生と多くの先生方、今回は裏方として最も面倒なお仕事を全て引き受けて下さった高瀬先生、会場の準備から会の運営協力までご協力頂いた企業の皆様、素晴らしいプレゼンで会を盛り上げて下さった日野田先生、長井社長、急なお願いにも関わらず快く司会を引き受けて下さった木幡先生、そしてお忙しい中お集まり頂いた多くの皆様と仲間たちに心より感謝申し上げます。
本当にありがとうございました!

また現場に戻って、ワクワクしながら進化したいと思っています。

皆様に再びお会い出来る日を楽しみにしております。

中高英語指導の現状と今後の課題 ――― LT/CT教育の必要性 (約80分)

【2015年基調講演と共通する大前提】
生徒は生身の人間。「スマホやゲームより英語が好き」と いう生徒を育てることが理想だが、大半はそうではないし それがある意味健全。多くの教科の中の1つとして英語があるという点を考えると、中高生の家庭学習時間は50分が限度。過度な英語教育で成長時期にある中高生のバランスを崩してはいけない。(自分の過去の指導の反省も込めて)

【発表内容(項目)】
【00】民間4技能試験導入をめぐる報道など
【01】民間4技能試験と従来型試験の相関関係と問題分析
【02】多様化し続ける入試と生徒の現状
【03】LT/CT教育(思考力・表現力指導)の必要性

【発表内容の概要】★は私の意見です。◆は書籍などの資料です。

【00】民間4技能試験導入をめぐる報道など

□ 2月末まで:英語試験の民営化=善 大学=悪:抵抗勢力
□ 3月中旬 :東大の発表「民間試験のスコアは利用せず」
⇒ 各紙慎重論が出始める。⇒ 3/26 民間試験採用の報道
★ 事前対応<事後対応 の日本人の欠点。
問題提起・議論をやる前に尽くし、入試改革をすべき。現状維持はもちろんまずい が、変えればよいという強引な変化は何より生徒にとって大きなマイナス。

◆ 「史上最悪の英語政策」(阿部公彦著 ひつじ書房)
★ TOEICの目的が「米国の労働者の語学力の選別」であること、「民間試験」の導入が業者利益に偏った決定であることなど、今回の「英語改革」の舞台裏を資料をベースに批判した点は勉強になるし、適切な問題点指摘だと考える。が、Speaking試験導入の是非や現状の入試の課題について、個人的には説得力を感じること が出来なかったし、民間試験や入試問題そのものに切り込んだ分析が少ない点が不満。

◆ 「2018.3.4 AERA記事:南風原教授と安河内先生の討論」
★ 全くかみ合わない議論。ここでも具体的に試験問題をベースにお二方が具体的なものを共有して議論出来ていないので、個人的には不毛な議論と感じた。

◆ 「英語教育の危機」(鳥飼玖美子著 ちくま新書)
★ 幅広い英語教育の方法論から、今回の「民間試験導入」に反対の立場をとった本。カリスマ的存在の言葉だけに勉強になるが、4技能試験の実体に切り込んでいない点が個人的には不満。

◆ 「ほんとうに頭がよくなる世界最高の子ども英語」
(斉藤淳著 ダイヤモンド社)
★ 否定・肯定を超えて、「英語学習はどうあるべきか?」を多くの科学的知見を用いて子どもの成長課程ごとに方法論を紹介してくれる良書。個人的にはとても勉強になりヒントを得て授業改善に取り組んでいる。が、民間試験についてはそれほど分析はない。

□ 2020年は思考力重視の改革では?
□ 民間試験の実体についての分析があまりにも不足では?

⇒ 今回の発表の「問題意識」=「出発点」

【01】民間4技能試験と従来型試験の相関関係と問題分析

① GTEC(RLW)/TEAP(RLWS)と従来型試験の相関関係(相関係数利用)

□ 難易度  : TOEFL/難関入試>TEAP>GMARCH>現センター>GTEC
□ LT/CT要素 : TOEFL/難関大入試 > 新センター > 現センター > TEAP > GTEC
★ 民間試験導入で生徒の英語力は間違いなく落ちる。
★ TEAP/GTECでは思考力を問う問題が従来型より少ない(TEAPはグラフ問題に大きな問題点あり)

□ 相関関係 (当日は相関係数と分布図で分析)
○GTEC難易度 : 高3の春段階でセンター平均点とほぼ同じ。RLWの平均はほぼ70%。
○GTEC R相関 : ベネッセ記述模試>センター>駿台全国模試>定期試験(いずれも高い)
○GTEC L相関 : センター試験Listeningとの相関が高い
○GTEC R/L/W : RとLは高い相関。RとW/RとLは低い相関。
×GTEC W相関 : 相関そのものが弱い/70%到達は中学段階で可能/他の試験の成績と関係なく横一線に分布。GTECのR/Lのスコアとの相関も低い。Wは「別の英語力」という位置づけでよいのか?誤差が大きく高3時より高1時がベストという生徒が多く見られる点が最大の課題。

★ Reading/Listeningは、コスト・思考力・難易度のどの点を考えても、新センターの方が遥に上。
★ Writing試験は分布の偏り、誤差の大きさから導入は避けるべき。、
★ Writing試験では答案の論理が採点出来ていない(後半で実例を用いて指摘)。

○TEAP難易度 : RL(難)>SW(易): TEAPのRLはGMARCHレベルかやや高い。
○TEAP R相関 : TEAP Reading > ベネッセ模試 >  定期試験 (いずれもそれなりに高い)
○TEAP L相関 : TEAP Listeningとそれなりに高い。
○TEAP W相関 : ベネッセ模試・定期試験との相関係数はGTEC同様低いが、分布は正常。
○TEAP S相関 : GTEC Writing / ベネッセ模試 /定期試験 いずれとの相関も低く、分布が異常。
○TEAP R/L/S/W: S×L (相関係数は高いが分布が異常でListening40%程度でもSpeaking90%という例も珍しくない)S×R (相関係数は高くはなく、分布異常。Reading30%台と70%台のスコアが変わらない例も多い)S×W (相関係数は高くはなく、分布異常。Writingの成績に関係なく60~80にスコアが集中)

★ Reading/Listeningはセンター受験層には高すぎる難易度。
★ Writingは相関そのものは高くないが、分布図を見れば点数がばらけており科学的信頼度は高い試験と判断。ただ、これはSummaryに特化しているためで、「発信型学力重視」がコンセプトなら全く別物の試験。
★ Speakingは高2秋段階で65%(最低点でも50%弱)に到達出来、一部難関大難関学部を除けば短期対策で十分到達可能な試験。「オンライン英会話」「授業内のOral活動」など現場は発信力強化への取り組みを行っているが、コスパを考えた安易な対策が横行すれば、むしろ現場のSpeaking教育にマイナスの効果をもたらしかねない。

★ 民間導入は決定事項。本来ならこうした分析を基に改善を求めた上での採用が望ましかったはずだが手遅れ。生徒のために、民間試験業者には、是非「利益を度外視した」改善を望みたい。それが不可能なら、各大学が実体をしっかりと把握した上で、各検定試験の目的と合致する一部入試に限定した利用が望ましいと考える。
② 4技能を各スキルごとではなく統合した試験の提案

★ Writingについては、現状の入試英語(東大・一橋大・慶應大経済など)の方が課題はあるがコンセプトは民間より上。
★ Opinion Writing / Summaryに特化せず、多様なスキルを問う問題にすべき。
★ Speakingについては、1つのスキルとして切り離すべきではない。
★ 4技能を統合した試験を行うべき。
(具体例①) 講義の内容を聞く ⇒ Listening Test ⇒ 関連文書を読む ⇒ Reading Test    ⇒ Summary / グラフ分析 / Opinion Writing など ⇒ それを基に英語面接やディスカッション
※ センター実施は無理なので、少人数に絞れた段階でこうした試験を各大学が実施すればよいのでは?
(具体例②) 旅行プランに関する文書を読む ⇒ 選んだ理由をWriting ⇒ 選んだプランでプレゼン※ 当日はご紹介出来ませんでした。立教の観光などでやれば面白いのでは?
具体例①のようなやり方はアカデミック学力重視の学校がやればよいし、具体例②のような
やり方は各大学で多様なアイデアを出せば、大学の多様性を実現出来ると思います。
★ 入試Writingの大きな課題
× 解答やコンセプトについての発信が全くない無責任な姿勢。
× 誤差の大きい問題であることはある程度避けられないが、誤差を小さくするための検証・改善を求めたい。
× 誤差が避けられなくても、4技能統合型試験を行えば、総合的に学生の能力を判断出来るのでは。

③ 民間試験導入の悪影響

□ 地域格差:鹿児島在住ならTEAPやIELSは福岡まで受験しに行く必要がある。明らかな問題なので直ちに改善を!
□ 入試における不公正の拡大
複数の選抜方式の中で、TEAPや英検採用試験の方が母集団が低い傾向が強い。
定員抑制+複数方式の影響で特に早稲田大学では1年ごとに全くハードルの高さが変わる入試。
★ 定員抑制は大学の決定ではなく行政の問題だが、そもそも定員は教育条件であり、これまで取り過ぎていた大学の経営方針も問題。民間試験導入を、「公平性の問題」として批判する大学がどの口でこういう不公平を被害者面してやっているのか?
□ 短期対策型の学習従来型入試よりもやりやすくなるため、現場の英語教育はかなり安易なものにシフトしかねない。
□ 民間試験導入で文法独立型問題などは減り、読解問題が増加すれば歓迎だが、思考力型問題が増えなければ学力の質的変換では済まなくなり、確実に学力低下する。
★ 入試英語はHOTS(Higher Order Thinking Skills)の方向性で変わらなければならない。

【02】多様化し続ける入試と生徒の現状

① 2020年教育改革について
【参考資料】
□「2020年の入試問題」(石川一郎著 講談社現代新書)
□ PISAランキング推移
□ 公益財団法人 日本生産性本部 生産性総合研究センター資料
□ 「不死身の特攻兵」(鴻上尚史著 講談社現代新書)
□ 「新・生産性立国論」(デービッド・アトキンソン著 東洋経済新聞社)
□ 新センター試験サンプル問題(国語)とベネッセ・産経新聞記事
□ 「大人のための国語ゼミ」(野矢茂樹著 山川出版社)
□ 「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」(新井紀子著 東洋経済新聞社)
□ 某塾の発信:教育改革=産業界からの養成について

★ 経済の発展・衰退を教育に過度に結びつけて捉える「一億総懺悔」のメンタリティーが大問題。
★ 労働者の質は世界4位。教育のレベルも世界トップレベル。「生産性の低さ」は無能な経営者・産業界では?
※ 人口増加の追い風を受けるアメリカの教育をお手本とするのが本当に良いのか?世界中で戦争しまくっている
国と教育の相関すら問題にならない点が不思議(当日は時間がなくてこのコメントはしませんでした)。
★ 英語だけでなく、「国語記述問題(サンプル)」は酷過ぎる。それを解きもせずに褒め称える劣化したマスコミ。
★ 真の記述力とは?「大人のための国語ゼミ」は英語の教材としてもお手本になる良書。
★ CEFR/ブルーム/学力の3要素を縦に並べた「物真似」が、「真似」を否定する愚。

② 多様化してきた入試英語
□ センター入試:1991年グラフ問題⇒1992年文整序問題⇒1998年文空所補充問題(TOEFL IBTより早い)
□ AIが得意なセンター世界史とは対照的に、センター読解はAIが解けない思考力問題(AIに出来ない仕事スキル)
□ 東大・早大・慶大・上智大など難関大ではLT要素を入れた読解問題を早期から導入している。
□ GTECのReadingは情報処理系が中心。LTはともかく、CTはほとんどない。
□ TEAPのReadingはGTECよりはLT/CTを入れているが、グラフリテラシー問題は作問コンセプトがおかしい。
□ TOEFL Readingは14問中5問がLT/CT問題。ただSummary完成などは早大(法・国教・スポ)の方が早くから導入。
□ TOEFLは良質な検定試験だが、目的が限定的なのと難易度が高いため採用妥当校は限られる。
★ TOEFLを超える試験を開発し、海外に輸出出来るHOTSレベルの試験を目指すべき。日本人の教育をアウトソースすべきではない。
③ 生徒の現状から出発した教育改善を
□ 生徒たちが、「何が」「何故」出来ないのか?どうすれば出来るようになるのかを、生徒を見てまず考えるべき。
□ 現在の生徒の弱点: 1)Logical Thinking Skill  2)記述力 (Super English Seminarのデータを基に)
□ Logical Thinking Skillのスコアと従来模試の相関は低い ⇒ 入試と模試の相関もその分野は低くなる。
□ Logical Thinking Skillが高い学生ほど、難関国公立大・早慶実学系・国立医学部レベルに進学している。
□ 記述力では特に「要約」が苦手な生徒が多い。(上位者ですら点数が安定しない)
★ 英語ではこの2つの弱点はWritingで最も深刻な形で露呈してしまう。

GTECで比較的高得点(70%以上)を貰っている生徒たちの添削後の英文の問題点を実例を用いて考察

★ Opinionの根拠にFactを使えない。根拠として個人的経験を用いる例、Opinionを言いっぱなしにする例が多すぎる。
⇒ 特異な個人経験を強調するCM/教科書の英文/入試長文の英文/政治家やマスコミの発信と驚くほど似ている。
⇒ Logical な能力が不足している生徒が多いのは、「大人」がLogicalな能力を欠いているからではないか?

★ 「具体」と「抽象」を上手く使って構成出来ない例
⇒ 個人的な経験=具体だけを大人が子どもに押し付けてはいないか?

★ 上から目線で子どもに要求するだけでなく、大人も一緒にHOTSを目指して進化しましょう!

【03】LT/CT教育(思考力・表現力指導)の必要性

□ CTとは何か? (2002年 上智短大 岩崎明子氏の文章 「研究ノート」)
□ CT=民主主義社会における市民教育の充実のために不可欠。
★ 今の日本は危ない
× Red HerringやStraw Manなど使ってはいけない「論理の誤謬」を用いた発信
× 嘘グラフによる情報操作
□ Washington Postの記事:Googleで成功するために必要なsoft skillの1つ= Critical Thinker / Problem Solver

★ 「官か民か?」「国内か国外か?」「学校か業者か?」ではなく、All Japanで「思考力養成」を実現しましょう!

【CM】 □ 教育開発出版 English Discover /  Z会 New Treasure 1~5

大学入試センター発表 平成29年度試行調査問題(英語)の分析

現行のセンター試験に代わる英語のサンプル問題が公表されたので
リスニングと読解問題を解いてみました。

3/29の研究会の発表では、この問題についての分析は触れないので
ここにまとめておきたいと思います。

私は大学入試センターという団体を肯定的には見ていませんが(笑)
民間の英語試験のReading / Listeningよりもはるかに良質な問題だと
判断します。

移行期間限定ではもったいないので、是非民間試験導入ではなく
Reading / Listeningはセンター試験で実施してもらうことを望みます。

□ Listening Version A (Version BはA(20問)+10問)

<概要>

2018年1月実施のセンター試験リスニングは難化したが、そのベクトルで問題を難しくしようという意図はないと感じた。
あくまで、「知識 < 考える力」を意識し工夫した問題が目立つ。難易度は決して高くないが、センター試験のリスニング問題としては、従来のものよりは更に良くなったと個人的には感じる。
GTECのリスニングでは、選択肢英文を読み上げるため、大会場では、他の受験生が鉛筆を持ったりマークしたりする気配や音で「集団カンニング」に近いことが起きてしまう(個人で何回か指摘したが改善されてない)が今回の問題ではそういう素人的な穴も見当たらない。
導入候補となっている多くの民間検定試験より、今回の問題の方が難易度も質も備えた問題で、はるかに良問であるというのが解いた後の私の印象である。

<設問別分析>
【第1問】
A(3問) 放送される英語と近い意味の英文を選択する問題。
⇒ 文法的な知識や音の聞き分けではなく、状況を把握する能力を試す問題。

B(2問) 放送される英語の内容を表した絵を選択する問題。
⇒ 基本的な文法知識がないと文意を正確に取れないので知識を聞いている問題。

【第2問】3問:放送される対話の内容を表す絵や地図内の場所を選択する問題。
⇒ description(描写)表現や位置関係表現が基本的な英語が分かっていれば基本的な問題。

【第3問】 3問:対話を聞いて内容に関する質問に答える問題。
⇒ 対話の内容が分かれば、そのまま答えられる問題ばかり。「聞こえた英語」をそのまま答えるレベルの学生でなければ、理解出来る程度の問題。

【第4問】 1問:4名の英語を聞き、「経験・英語力・スケジュール」の3つの条件を満たす人を選ぶ問題。
⇒ 「思考力問題」としては基礎レベルだが、これまでのセンター試験にはないタイプの問題。情報の整理に表を使わせるのはLogical 系問題としては定番だが良問だと思う。

【第5問】 4問:環境問題をテーマにした問題「服とゴミ・エネルギーの関係」
⇒ ワークシートを完成させ講義のSummaryを作成させる問題は東京外大と同一形式(レベルは外大より易)知識があれば英語を聞かなくても完成出来なくないが、逆に常識レベルの知識がなければ何を言っているのか分からない生徒もいるかもしれない。また、講義の内容では直接触れられていない話者の主張をinferして答えさせる問題、グラフと内容の一致を問う思考力系問題も1問ある。

【第6問】
A(2問):修学旅行についての2人の大学生の対話。
⇒ 2問ともWhat is the man’s(woman’s) main point? 式の概略を問う問題であるが、実際には各選択肢の内容が話と矛盾しないかどうかを消去法で解くタイプの問題。情報処理系の問題。

B(2問):「炭水化物を積極的に摂取するかどうか」をテーマにした問題
⇒ 「すべて選びなさい」という形式の問題。「新しい試み」と最近よく話題になるが、早稲田・教育の入試英語では1980年代からこうした形式はあった。一歩間違うと悪問になりかねない形式だが、今回の出題は見事。
⇒ 1問目は「それぞれの話者の発言内容が、炭水化物積極摂取に賛成か反対か」を焦点に聞かせる問題。2問目は話者の話している内容が「グラフ」と合うかどうかを聞く問題。不正解の3つが簡単に見分けられるのでグラフ問題としてはもう少し工夫が欲しいところ。

□ 読解問題

<概要>

テーマパークやぐるナビに似たサイト情報が題材になっていることが目新しさを感じさせることは確かである。
海外滞在中に必要なReading力が「アカデミックな英文」ではなく「標識」「説明書」「薬などの服用における注意」「観光地やレストランに関するガイドブックやネットの情報」であることを考えると、2020年の教育改革のテーマになっている「日常から出発する学び(日常が終点ではない)」に合う問題だと思われる。(あくまで私的解釈である)
ただ、解答に必要な能力を分析してみると、「スキャニング能力+消去法を用いることが出来る読解力」である点がそれほど変わっていない問題も多い。全てを思考力型にする必要もないのでバランスが肝心だが、概ね良いバランスであるように思う。
他でも発信があるので詳細は省くが、音声問題、文法問題、整序問題などは消えた。
これも方向性としては正しいコンセプトだと私は考える。
ただ、知識系の問題にしか対応出来ない生徒が具体的な学習内容を見失う影響は心配される材料。単語テストや文法・構文のミニテストを日常レベルの学習で課している学校も多いだろうが、重箱の隅を突く問題を聞くような教育が減るのは歓迎だろうが、「試験に出ない」という理由で勉強しなくなる子へのケアーが必要になる。
また深い知識がなくても表面的な情報処理で対応出来る問題が多い。思考力系問題にチャレンジしているのは素晴らしいし、民間試験の多くをはるかに超える良問だと私は感じるが、得てしてこの手の問題になると生徒の日々の地道な努力より元々の生徒地頭や読解力が大きく点数を左右することが多い。
この点についても、現場の教育が「試験対策」ではなく「思考力とともに知識の重要性」をどこまで強調出来るかが課題になると感じた。

<設問別分析>
【第1問】
A:2問 海外の遊園地のWebページを情報源にした情報処理系の問題
⇒ 解答に必要な本文該当箇所をスキャニングし消去法で処理出来る問題。従来型センター試験では表や図に根拠がある問題が多かったが、2問とも英文情報がスキャニング対象となっている。

B:3問 大学のポスターを情報源にした情報処理系の問題
⇒ ポスター内の情報を統合して内容を確認させる問題の出題も1問あるが、従来型センター試験と同様に情報処理能力を見る問題が2問。

【第2問】
A:4問 ぐるナビのようなサイトの情報を題材にした読解問題
⇒ それぞれの料理店についてのコメントと合うものをスキャニングし消去すれば確実に正解できる問題が2問。複数あるコメントを総括するとどう言えるかを問う思考力型問題(超易)が1問。Fact か Opinionかを問う問題で複数解答方式だが、狙いは思考力問題として非常に良い。しかし、正解を見ると、こうした出題では細心の注意が必要であることを改めて感じさせられる。

 

1  Annie’s Kitchen offers dishes from many countries.       manyよりopinion
2  Johnny’s Hutt is less crowded than Shiro’s Ramen.   dataがないので判断出来ない
3  Johnny’s Hutt serves some fish dishes.    書き込みよりfactと判断出来る
4  The chef at Johnny’s Hutt is good at his job.   goodよりopinion
5  The chef ’s meal-of-the-day is the best at Annie’s Kitchen. the bestよりopinion
6  The menu at Annie’s Kitchen is wonderful.    wonderfulよりopinion

これで正解が1,3となっている。そもそも、Fact/Opinionの判別問題であるにも関わらず、論拠を書き込み(opinion)にしている点も作問として問題である。1をFactとする根拠を The menu is 13 wonderful pages long with food from around the world.に求められる、とするのは無理がある。ただ、検定試験には見られないこうした出題形式は狙いは非常によいので、慎重に作問をして貰えれば良問になるはずの問題である。

B:5問 ディベートの準備をする学生の立場に立ってボランティアについての記事を読ませる問題
⇒ 5問とも単純な情報処理ではなく、本文に書かれていることを基に考えさせる工夫が見られる問題。アンケート結果から質問を考える問題が1問、賛成反対の立場の生徒が活用出来る箇所を答えさせる問題が各1問。本文の内容を確認する問題でありながら、きちんと抽象表現が読めていないと具体が見えない問題が1問。筆者のスタンスを聞く問題(Critical Thinkingレベル)が1問。難問はないが、思考力をきちんと問う良問。

【第3問】

A:2問 題材はブログ。ただ、従来のセンター試験と大きく変わる問題ではない。
⇒ 場所情報、内容一致不一致をスキャニングと消去法で処理させる情報処理系の問題。

B:3問  セールスマンによる新聞の投稿記事。「機械が人間の労働を奪う」という最近よく見られるトピック
⇒ Time/Space Orderに関するLogical Thinkingレベルの問題が1問。内容一致不一致に関する情報処理系の問題が2問。

【第4問】5問: ボランティア活動についてのグラフと2人のレポートが題材。
⇒ 内容に関する情報処理系問題が4問。タイトルから2人のボランティア普及活動に役立つ記事を推測させる問題(Critical Thinkingレベル)が1問。バランス的には情報処理系が多いので、もう少し思考力型問題が欲しい。

【第5問】
A:3問 折り紙についてアメリカ人学生が書いた英文を編集者の立場として読む設定の読解問題。
⇒ 全体の要旨を問う問題が1問、筆者のintentionを聞くCritical Thinkingレベルの問題が1問、従来のセンターやTOEFLiBTで見られる文章の空所補充(Logical Thinkingレベルの問題)が1問。バランスも題材も素晴らしい。

B:6問 黒胡椒、白胡椒の違いと効能について(アウトラインの完成)
⇒ Outline / Compare & Contrast作成/ 要点まとめ というLogical & Critical Readingをさせる問題。難易度は高くないが、日頃からReading Strategyを意識した読解の学習をしていない学生には厳しいかもしれない。Reading PowerやNew Treasure のような教材で学んでいれば、容易に対応出来るはず。複数解答の問題が2問あるが、きちんと読めば迷うことはないと思われる。

【第6問】5問:物語作品のReviewを書く設定で物語文を読ませ、アウトライン、登場人物、自分の意見などを完成させる問題。
⇒ Outlineの空所補充が2問、登場人物の気持ちを選択させる問題が1問、意見を完成させる問題が1問、どんな人にお勧めかを判断させる問題(Critial Thinkingレベル)が1問。