USB配布による音声録音方式について、現場の状況を無視した(?)文科省からの無茶ぶりな実施方法が話題になっている全国学力・学習調査ですが、昨年度の問題を見てみました。(中3生対象)

文科省発信では「日本の学生はRL(Reading/Listneing)は得意だがSW(Speaking/Writing)が弱い」となっており、この点がTEAPやGTECの本校での実施結果と矛盾するということを未来の先生展2018でも指摘させて頂きました。

不勉強で、全国学力・学習調査の中身については見たことがなかったのですが今回目を通してみてびっくりしました。
これ、試験として大丈夫なんだろうか・・・。
とにかく突っ込みどころ満載です。
やらされた中3生がかわいそう。

私の個人的な感想がおかしいのかもしれないので皆様には是非ご自身の目で確かめて頂ければと思います。

平成31年度全国学力・学習状況調査 中学校英語「話すこと」調査に向けて
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku-chousa/zenkoku/1409973.htm

英語予備調査について
http://www.nier.go.jp/18chousakekkahoukoku/kannren_chousa/eigo_yobichousa.html

① Listening (解答時間10分・4題)

【1】クラスルームイングリッシュを聞いて表してる絵を選択させる問題

放送された英語は、Close your textbook and raise your hand.

おいおい、これから何をさせるの?(笑)
こんな英語を教室で使ったことはないし、これからもないと思います。
出題の狙いは、「クラスルーム・イングリッシュを理解し、必要な情報を聞き取ることが出来る」だそうですが…。
問題作成者も、これを実施した文科省の役人も、一回くらい授業したら?
と言いたくなるような問題に思えますが、いかがですか?

他の2題は天気、Tシャツのデザインに関する問題で、単語さえ聞き取れれば出来る易しい問題です。

【2】パンダについてのSpeechとスライドの絵の組み合わせ

これも from China / zookeeprs / more pandas in Japan が聞き取れれば出来る易しい問題。
最後の絵はどうかと思いますが、別に大きな欠陥はありません。

【3】山登りに詳しい人のアドバイスを聞いて、その人が一番伝えたい内容として最も適切なものを選択する問題。

これがヤバイです。スクリプトは以下の通り。

You are going to take Course A and start climbing at 10 o’clock tomorrow, right?
But you have to take Course B and start earlier. Course B takes more time, but it is easier
than Course A. Course A is too difficult for junior high school students. The weather on the mountatin changes quickly. I’m afraid it’ll be rainy tomorrow afternoon. So you need to start before eight. Starting at ten is too late. That’s my advice.

この英文、ひどくないですか?

コースAで明日10時に登ろうとしてるね?でもコースBにしなければならないし、出発は早めなければならない。コースBはコースAより時間がかかるが、より簡単だ。コースAは中学生には難しすぎる。山の天気はすぐ変わる。明日の午後は雨が降るだろう。だから8時前には出発しなければならない。私のアドバイスは以上だ。

知識・技能だけではなく、論理的思考、批判的思考、創造的思考がこれからの時代には必要だ。
その通りですが、この内容で最も重要な情報を選ばせる問題の作問をしておいて言われても
説得力はゼロだと思います。まず子どもではなく、大人が勉強すべきではないでしょうか?

ちなみに選択肢は

1)Course B takes more time.

2) Course A is too difficult.

3) The weather on the mountain changes quickly.

4) You have to start before 8:00.

So you need to start before eight. の箇所からSoを帰結を表す論理マーカーと読ませ、
次の英文が最も重要だ、と解答させたいのでしょうか?

8時前に出発しなければならない理由は、コースBの所要時間がAよりも長いから?
それとも天気が急変しやすい山で明日は雨になるとアドバイザーが思うから?

Soの使い方がおかしくないですか?

私がおかしいのかと思って、生徒に聞いてみたら、「はぁ??」という反応。
だよね(笑)。支離滅裂な英文アドバイスを聞かされて、何が一番大切な情報かと
問われても・・・。

【4】今月帰国する英語の先生マイクのために学校で何かをしましょう。何をしたいですか?英語で1文以上で答えなさい。(英語指示)

問題コンセプトはいいです。模範解答が I want to sing with Mike. (笑)
間違ってないですが、 I want to ~ with Mike. なら何でもOKということなのかな。
なんか深く考えた生徒は時間内(解答時間1分)に考えがまとまらないでしょうね。

こうしたListeningの問題の成績をデータ化し、「日本の学生はListeningは出来る」
という結論に持っていく…。

文科省が日本の学生の4技能の現状把握の根拠として用いたのが(あるいはこれから用いるのが)この試験なのかどうか分かりませんが、もしそうなら、ちょっと問題ありだと思います。

皆様のご意見はいかがでしょうか?

② Reading(20分・4題)

【5】
空所補充4択問題
文脈を考えさせ、空所に入る単語を答えさせる問題。問題としては良問だと思います。
ただ、解答が dictionaries で distractorsが guitars/ cars / boxes ですから
迷いようがない簡単な問題です。

英文の内容と合う絵を答えさせる4択問題
two cats under a tree / playing with balls ですぐに解答出来ます。

時間割の内容と合う英文を選ばせる5択問題(あるだけ選べ方式)
あるだけ選べで、正解は1つ(笑)。まぁ、入試でもよくあるパターンでそれは
よいですが、消去法で確実に消せるので1つしか答えは残らない。
Time Tableで使われている英語の中には integrated study など難しい単語もあるので
「何、知らない」と不安になった中学3年生もいるかもしれませんね。
ただ、典型的な公立中学の生徒の時間割であるように思うので英語力を試したいのなら
別の国の時間割など、生徒が背景知識を共有しないものが望ましいのでは?

【6】英文を読んで、アウトラインを選ばせる4択問題
コンセプトとして良いと思います。私が中学生の時(もう30年以上前)にはこうした
問題はなかったのですが、読解力を見る工夫がされていると感じます。
最近のTOEFLの試験でもアウトラインやSummaryは出題されています。
4択よりも、Summaryとして適切な英文を選ばせる問題の方が良いと思いますが
難易度は上がってしまうので、作問の判断が難しいところです。
【7】 English Cafeという催しのホームページから、「参加者が事前に準備すべきこと」を
知るための情報が、4箇所のどこに書かれているかを聞く問題

良問だと思いました。

思考力系の問題というより情報を探す問題ですが、情報を探すという行為がReadingの目的の1つとしてあるので、コンセプトとしてよいと考えます。
【8】 Opinion Writing

videoとpictureのどちらがto remember good timesするのに適しているかという問題。

これがReadingの分野に入っている理由が分からないです。

③ Writing (15分・2題)

【9】
空所補充4択問題2題
これ、Writing? ただの文法問題2題です。 when / because を入れさせる問題

空所補充記述問題2題
これもただの文法問題。Do you practice/ I was busyを書かせる問題。

表の情報から3文書かせる問題。単純すぎてただの和文英訳と変わらない。
Sam is a teacher. He likes tennis. He doesn’t have a car. いずれも中1英語。

【10】 日本を訪れる外国人観光客向けのパンフレットとして、A gift from Japan の記事を30語以上の英語で書かせる問題。お勧めしたいものを1つあげ、理由を書く。

これ、Writingの問題として適切だとは思いますが、他の問題に比べて難易度が高いのが気になります。4技能のそれぞれの問題の難易度を合わせて、「日本の学生は○○の技能が弱い」と分析するのならよいのですが、パンダの絵の順番を記号で答える問題と同レベルとはとても思えないです。

④ Speaking

【1】絵を見て英語を言う問題が3問。それぞれ10秒。

What time is it? / How many children are there?/ What is this woman doing?
簡単な問題だが、数字だけで答えた場合にどうなるのか、など疑問点は残る。

【2】会話の流れに合う疑問文を言わせる問題?20秒。

これ、スクリプトしか公開されていませんが、問題として成立しているのかどうか…。
3人で会話している設定。「あなた・ナオミ・イギリスから来たリチャード先生」

先生 :3つの国に行きたい。アメリカ、カナダ、中国だね。
なおみ :なぜアメリカに行きたいんですか?
先生 :野球を見たい。興味があるんだ。
なおみ :そうなんですね。
先生 :オーストラリアにはまた行きたいな。
なおみ :いつ行かれたのですか?
先生 :2年前。楽しかった。
なおみ :私も行きたい。
先生 :Great!
(先生となおみが、あなたの方を見ます。)
なおみ :ところで、他に先生に質問ないですか?

これ、散々存在無視された後に、聞かれても…って思ってしまいましたが(笑)。

3人の会話にする意味があったのか?
二人の会話にして、 Do you have any other questions? に対して答える問題で
十分だったのでは?

設定に無理がある = 英語を使う状況を正しく設定出来ない作問者

というのが私の感想です。ちなみに模範解答が Why do you want to go to China?

やれやれ。

【3】1分考えた後、シンガポールの姉妹校の生徒にTV電話で自分の学校を紹介する問題。

ヒントとして、紹介する内容の例が載せてある。「学校のある場所や地域」「部活動」「学校行事」「先生や生徒」など。これら以外のことでも、一部のみの紹介でも可とのこと。

普通のSpeaking問題ですね。気になるのは、何をどう評価するのか?ということ。

発音?    (何をお手本に?アメリカ英語を基準にする?)
Fluency?  (短い言葉を挟みながらなど淀みなく紹介するのが良い、とするの?)
文法エラー?(単なる知識?)

そもそも1分しか考える時間がない訳で、知ってる英語をいかに使いながら30秒英語を話すのか?WPMが120だとしたら60語程度の英語になるでしょうか。

Speakingというよりは即興のプレゼンテーション能力が試されている感じですね。
これもありだと思いますが、難易度は中3生という対象を考えると、他技能に比べて高い気はします。もちろん、いかに知ってる易しい英語を使えるか次第でいくらでも難易度は下げられると思いますが。
長くなってしまいました。

まとめると

① なんじゃこれ? という問題として完成度の低いものが案外多い。
② 4技能のバランスを見るのであれば、難易度の調整がされていないのでは?

の2点です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。

広告