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終わった瞬間、身体がドッと重くなりました。
自分では必ずしもベストな発表をやり遂げたという充実感はなかったのですが少なくとも今自分の中にあるものは全て出しきったからなのかも知れません。

今回のセミナーで私が一番訴えたかったのは、それぞれの立場からポジショントークするのではなく、あるいは自分と違う考えの人間をそう批判するのではなく、日本の未来を担ってくれる若者たちのために一致団結して頑張りましょう、という単純なことです。

多くの方々から、是非プレゼンの資料が欲しいという有難いお言葉を頂きました。ただ、学校内のデータということもあり、お土産としてお持ちいただいた資料以外の提供は差し控えさせていただきたいと思います。申し訳ありません。

その代わりという訳ではありませんが、以下発表の概要をまとめさせて頂きます。
何かのお役にたてば幸いです。

また、プレゼンに先立ち、司会の木幡教諭からご紹介頂いた「1000 TEXTBOOKS PROJECT」
に大きなご理解とご協力を頂けたことをこの場を借りてお礼申し上げます。
皆様の暖かいお気持ちが伝わってきて、募金箱を見た時に涙が出そうになるほど嬉しかったです。

そのご協力の呼びかけも含め、これだけ多くの人の輪を作って下さった代表の久保先生、会場校としていつもご協力を頂いている十文字中高の橋本先生と多くの先生方、今回は裏方として最も面倒なお仕事を全て引き受けて下さった高瀬先生、会場の準備から会の運営協力までご協力頂いた企業の皆様、素晴らしいプレゼンで会を盛り上げて下さった日野田先生、長井社長、急なお願いにも関わらず快く司会を引き受けて下さった木幡先生、そしてお忙しい中お集まり頂いた多くの皆様と仲間たちに心より感謝申し上げます。
本当にありがとうございました!

また現場に戻って、ワクワクしながら進化したいと思っています。

皆様に再びお会い出来る日を楽しみにしております。

中高英語指導の現状と今後の課題 ――― LT/CT教育の必要性 (約80分)

【2015年基調講演と共通する大前提】
生徒は生身の人間。「スマホやゲームより英語が好き」と いう生徒を育てることが理想だが、大半はそうではないし それがある意味健全。多くの教科の中の1つとして英語があるという点を考えると、中高生の家庭学習時間は50分が限度。過度な英語教育で成長時期にある中高生のバランスを崩してはいけない。(自分の過去の指導の反省も込めて)

【発表内容(項目)】
【00】民間4技能試験導入をめぐる報道など
【01】民間4技能試験と従来型試験の相関関係と問題分析
【02】多様化し続ける入試と生徒の現状
【03】LT/CT教育(思考力・表現力指導)の必要性

【発表内容の概要】★は私の意見です。◆は書籍などの資料です。

【00】民間4技能試験導入をめぐる報道など

□ 2月末まで:英語試験の民営化=善 大学=悪:抵抗勢力
□ 3月中旬 :東大の発表「民間試験のスコアは利用せず」
⇒ 各紙慎重論が出始める。⇒ 3/26 民間試験採用の報道
★ 事前対応<事後対応 の日本人の欠点。
問題提起・議論をやる前に尽くし、入試改革をすべき。現状維持はもちろんまずい が、変えればよいという強引な変化は何より生徒にとって大きなマイナス。

◆ 「史上最悪の英語政策」(阿部公彦著 ひつじ書房)
★ TOEICの目的が「米国の労働者の語学力の選別」であること、「民間試験」の導入が業者利益に偏った決定であることなど、今回の「英語改革」の舞台裏を資料をベースに批判した点は勉強になるし、適切な問題点指摘だと考える。が、Speaking試験導入の是非や現状の入試の課題について、個人的には説得力を感じること が出来なかったし、民間試験や入試問題そのものに切り込んだ分析が少ない点が不満。

◆ 「2018.3.4 AERA記事:南風原教授と安河内先生の討論」
★ 全くかみ合わない議論。ここでも具体的に試験問題をベースにお二方が具体的なものを共有して議論出来ていないので、個人的には不毛な議論と感じた。

◆ 「英語教育の危機」(鳥飼玖美子著 ちくま新書)
★ 幅広い英語教育の方法論から、今回の「民間試験導入」に反対の立場をとった本。カリスマ的存在の言葉だけに勉強になるが、4技能試験の実体に切り込んでいない点が個人的には不満。

◆ 「ほんとうに頭がよくなる世界最高の子ども英語」
(斉藤淳著 ダイヤモンド社)
★ 否定・肯定を超えて、「英語学習はどうあるべきか?」を多くの科学的知見を用いて子どもの成長課程ごとに方法論を紹介してくれる良書。個人的にはとても勉強になりヒントを得て授業改善に取り組んでいる。が、民間試験についてはそれほど分析はない。

□ 2020年は思考力重視の改革では?
□ 民間試験の実体についての分析があまりにも不足では?

⇒ 今回の発表の「問題意識」=「出発点」

【01】民間4技能試験と従来型試験の相関関係と問題分析

① GTEC(RLW)/TEAP(RLWS)と従来型試験の相関関係(相関係数利用)

□ 難易度  : TOEFL/難関入試>TEAP>GMARCH>現センター>GTEC
□ LT/CT要素 : TOEFL/難関大入試 > 新センター > 現センター > TEAP > GTEC
★ 民間試験導入で生徒の英語力は間違いなく落ちる。
★ TEAP/GTECでは思考力を問う問題が従来型より少ない(TEAPはグラフ問題に大きな問題点あり)

□ 相関関係 (当日は相関係数と分布図で分析)
○GTEC難易度 : 高3の春段階でセンター平均点とほぼ同じ。RLWの平均はほぼ70%。
○GTEC R相関 : ベネッセ記述模試>センター>駿台全国模試>定期試験(いずれも高い)
○GTEC L相関 : センター試験Listeningとの相関が高い
○GTEC R/L/W : RとLは高い相関。RとW/RとLは低い相関。
×GTEC W相関 : 相関そのものが弱い/70%到達は中学段階で可能/他の試験の成績と関係なく横一線に分布。GTECのR/Lのスコアとの相関も低い。Wは「別の英語力」という位置づけでよいのか?誤差が大きく高3時より高1時がベストという生徒が多く見られる点が最大の課題。

★ Reading/Listeningは、コスト・思考力・難易度のどの点を考えても、新センターの方が遥に上。
★ Writing試験は分布の偏り、誤差の大きさから導入は避けるべき。、
★ Writing試験では答案の論理が採点出来ていない(後半で実例を用いて指摘)。

○TEAP難易度 : RL(難)>SW(易): TEAPのRLはGMARCHレベルかやや高い。
○TEAP R相関 : TEAP Reading > ベネッセ模試 >  定期試験 (いずれもそれなりに高い)
○TEAP L相関 : TEAP Listeningとそれなりに高い。
○TEAP W相関 : ベネッセ模試・定期試験との相関係数はGTEC同様低いが、分布は正常。
○TEAP S相関 : GTEC Writing / ベネッセ模試 /定期試験 いずれとの相関も低く、分布が異常。
○TEAP R/L/S/W: S×L (相関係数は高いが分布が異常でListening40%程度でもSpeaking90%という例も珍しくない)S×R (相関係数は高くはなく、分布異常。Reading30%台と70%台のスコアが変わらない例も多い)S×W (相関係数は高くはなく、分布異常。Writingの成績に関係なく60~80にスコアが集中)

★ Reading/Listeningはセンター受験層には高すぎる難易度。
★ Writingは相関そのものは高くないが、分布図を見れば点数がばらけており科学的信頼度は高い試験と判断。ただ、これはSummaryに特化しているためで、「発信型学力重視」がコンセプトなら全く別物の試験。
★ Speakingは高2秋段階で65%(最低点でも50%弱)に到達出来、一部難関大難関学部を除けば短期対策で十分到達可能な試験。「オンライン英会話」「授業内のOral活動」など現場は発信力強化への取り組みを行っているが、コスパを考えた安易な対策が横行すれば、むしろ現場のSpeaking教育にマイナスの効果をもたらしかねない。

★ 民間導入は決定事項。本来ならこうした分析を基に改善を求めた上での採用が望ましかったはずだが手遅れ。生徒のために、民間試験業者には、是非「利益を度外視した」改善を望みたい。それが不可能なら、各大学が実体をしっかりと把握した上で、各検定試験の目的と合致する一部入試に限定した利用が望ましいと考える。
② 4技能を各スキルごとではなく統合した試験の提案

★ Writingについては、現状の入試英語(東大・一橋大・慶應大経済など)の方が課題はあるがコンセプトは民間より上。
★ Opinion Writing / Summaryに特化せず、多様なスキルを問う問題にすべき。
★ Speakingについては、1つのスキルとして切り離すべきではない。
★ 4技能を統合した試験を行うべき。
(具体例①) 講義の内容を聞く ⇒ Listening Test ⇒ 関連文書を読む ⇒ Reading Test    ⇒ Summary / グラフ分析 / Opinion Writing など ⇒ それを基に英語面接やディスカッション
※ センター実施は無理なので、少人数に絞れた段階でこうした試験を各大学が実施すればよいのでは?
(具体例②) 旅行プランに関する文書を読む ⇒ 選んだ理由をWriting ⇒ 選んだプランでプレゼン※ 当日はご紹介出来ませんでした。立教の観光などでやれば面白いのでは?
具体例①のようなやり方はアカデミック学力重視の学校がやればよいし、具体例②のような
やり方は各大学で多様なアイデアを出せば、大学の多様性を実現出来ると思います。
★ 入試Writingの大きな課題
× 解答やコンセプトについての発信が全くない無責任な姿勢。
× 誤差の大きい問題であることはある程度避けられないが、誤差を小さくするための検証・改善を求めたい。
× 誤差が避けられなくても、4技能統合型試験を行えば、総合的に学生の能力を判断出来るのでは。

③ 民間試験導入の悪影響

□ 地域格差:鹿児島在住ならTEAPやIELSは福岡まで受験しに行く必要がある。明らかな問題なので直ちに改善を!
□ 入試における不公正の拡大
複数の選抜方式の中で、TEAPや英検採用試験の方が母集団が低い傾向が強い。
定員抑制+複数方式の影響で特に早稲田大学では1年ごとに全くハードルの高さが変わる入試。
★ 定員抑制は大学の決定ではなく行政の問題だが、そもそも定員は教育条件であり、これまで取り過ぎていた大学の経営方針も問題。民間試験導入を、「公平性の問題」として批判する大学がどの口でこういう不公平を被害者面してやっているのか?
□ 短期対策型の学習従来型入試よりもやりやすくなるため、現場の英語教育はかなり安易なものにシフトしかねない。
□ 民間試験導入で文法独立型問題などは減り、読解問題が増加すれば歓迎だが、思考力型問題が増えなければ学力の質的変換では済まなくなり、確実に学力低下する。
★ 入試英語はHOTS(Higher Order Thinking Skills)の方向性で変わらなければならない。

【02】多様化し続ける入試と生徒の現状

① 2020年教育改革について
【参考資料】
□「2020年の入試問題」(石川一郎著 講談社現代新書)
□ PISAランキング推移
□ 公益財団法人 日本生産性本部 生産性総合研究センター資料
□ 「不死身の特攻兵」(鴻上尚史著 講談社現代新書)
□ 「新・生産性立国論」(デービッド・アトキンソン著 東洋経済新聞社)
□ 新センター試験サンプル問題(国語)とベネッセ・産経新聞記事
□ 「大人のための国語ゼミ」(野矢茂樹著 山川出版社)
□ 「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」(新井紀子著 東洋経済新聞社)
□ 某塾の発信:教育改革=産業界からの養成について

★ 経済の発展・衰退を教育に過度に結びつけて捉える「一億総懺悔」のメンタリティーが大問題。
★ 労働者の質は世界4位。教育のレベルも世界トップレベル。「生産性の低さ」は無能な経営者・産業界では?
※ 人口増加の追い風を受けるアメリカの教育をお手本とするのが本当に良いのか?世界中で戦争しまくっている
国と教育の相関すら問題にならない点が不思議(当日は時間がなくてこのコメントはしませんでした)。
★ 英語だけでなく、「国語記述問題(サンプル)」は酷過ぎる。それを解きもせずに褒め称える劣化したマスコミ。
★ 真の記述力とは?「大人のための国語ゼミ」は英語の教材としてもお手本になる良書。
★ CEFR/ブルーム/学力の3要素を縦に並べた「物真似」が、「真似」を否定する愚。

② 多様化してきた入試英語
□ センター入試:1991年グラフ問題⇒1992年文整序問題⇒1998年文空所補充問題(TOEFL IBTより早い)
□ AIが得意なセンター世界史とは対照的に、センター読解はAIが解けない思考力問題(AIに出来ない仕事スキル)
□ 東大・早大・慶大・上智大など難関大ではLT要素を入れた読解問題を早期から導入している。
□ GTECのReadingは情報処理系が中心。LTはともかく、CTはほとんどない。
□ TEAPのReadingはGTECよりはLT/CTを入れているが、グラフリテラシー問題は作問コンセプトがおかしい。
□ TOEFL Readingは14問中5問がLT/CT問題。ただSummary完成などは早大(法・国教・スポ)の方が早くから導入。
□ TOEFLは良質な検定試験だが、目的が限定的なのと難易度が高いため採用妥当校は限られる。
★ TOEFLを超える試験を開発し、海外に輸出出来るHOTSレベルの試験を目指すべき。日本人の教育をアウトソースすべきではない。
③ 生徒の現状から出発した教育改善を
□ 生徒たちが、「何が」「何故」出来ないのか?どうすれば出来るようになるのかを、生徒を見てまず考えるべき。
□ 現在の生徒の弱点: 1)Logical Thinking Skill  2)記述力 (Super English Seminarのデータを基に)
□ Logical Thinking Skillのスコアと従来模試の相関は低い ⇒ 入試と模試の相関もその分野は低くなる。
□ Logical Thinking Skillが高い学生ほど、難関国公立大・早慶実学系・国立医学部レベルに進学している。
□ 記述力では特に「要約」が苦手な生徒が多い。(上位者ですら点数が安定しない)
★ 英語ではこの2つの弱点はWritingで最も深刻な形で露呈してしまう。

GTECで比較的高得点(70%以上)を貰っている生徒たちの添削後の英文の問題点を実例を用いて考察

★ Opinionの根拠にFactを使えない。根拠として個人的経験を用いる例、Opinionを言いっぱなしにする例が多すぎる。
⇒ 特異な個人経験を強調するCM/教科書の英文/入試長文の英文/政治家やマスコミの発信と驚くほど似ている。
⇒ Logical な能力が不足している生徒が多いのは、「大人」がLogicalな能力を欠いているからではないか?

★ 「具体」と「抽象」を上手く使って構成出来ない例
⇒ 個人的な経験=具体だけを大人が子どもに押し付けてはいないか?

★ 上から目線で子どもに要求するだけでなく、大人も一緒にHOTSを目指して進化しましょう!

【03】LT/CT教育(思考力・表現力指導)の必要性

□ CTとは何か? (2002年 上智短大 岩崎明子氏の文章 「研究ノート」)
□ CT=民主主義社会における市民教育の充実のために不可欠。
★ 今の日本は危ない
× Red HerringやStraw Manなど使ってはいけない「論理の誤謬」を用いた発信
× 嘘グラフによる情報操作
□ Washington Postの記事:Googleで成功するために必要なsoft skillの1つ= Critical Thinker / Problem Solver

★ 「官か民か?」「国内か国外か?」「学校か業者か?」ではなく、All Japanで「思考力養成」を実現しましょう!

【CM】 □ 教育開発出版 English Discover /  Z会 New Treasure 1~5

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